本は(図書館でも借りられるし)
草むしりと並んで最も健全で安上がりな娯楽と申せましょう。
今回は、本の話。
本屋に行っても欲しい本はない、という話はよく聞きます。
利幅の薄い本屋さんにしてみれば、
マイナーな客を相手に在庫を抱える余裕はない。
返品は出来るにしろ、限られた店舗スペースでは、
回転の速い本(や雑誌)を置いたほうが利益には貢献する。
利幅の多い死蔵品より回転のいい薄利の方がモアベターよ。
と、小森和子も言った。
かくして、書店はコンビニとさして変わらぬことと相成りました。
昔(僕の高校時代)は、注文しても2週間はかかっていました。
マイナーな本ではありません。
そこらにある推理小説やSF小説です。
今はどうだか知りませんが、あまり変わらないらしい。
本の業界、何やってたんだ?
いまだにもって、半月も待たされた理由が分からない私である。
出版流通って、迷宮かい。
2週間ばかりを生き急いでどうするんです?
と、私も思わないでもないですが、
その2週間が生死の分かれ目だ、「待てない!」という人も多い。
各流通段階への在庫確認や配送・荷受に半月もかかるんなら、
いっそこうしたらどうでしょう。
書店に端末機を置いて、お客さんに勝手に本を選んでもらう。
出版社はハードカバー、廉価版、文庫本ぐらいのバリエーションを
デジタル情報として準備しておいて、
注文が来たら、大急ぎでプリント・製本して発送する。
これだと書店は大量の在庫を抱えて
(当てもなく)「客待ち」しなくてもいいし、
出版社は返品の山で腰を抜かすこともなくなる。
省資源にもなる。
え? 既にインターネットで注文している?
ネット配信という手もありますね、そう言えば。
そんなご時世になれば、書店はビジネスモデルとしては、
完全に成り立たなくなる。
書店は流通の末端ではありません。末端はやはり消費者ですよ。
何が省資源になるといって、生産と消費が直結することが一番です。
消費者が必要としている物しか生産しない。
消費者が生産を決定するのだ!
過剰(設備)投資と在庫からここでフリーになれる。
エコノミストとエコロジストは、この辺で手を結ぶ(はず?)。
なのですが、え?何か間が抜けているって?
それは何です?ボクにはよく分かりませんが。
生産力の発展は、イコール消費の刺激だ、ってこと?
消費は不断に刺激し続けなければ、冷えてしまう、と。
ついでに雇用も減衰してしまう、と。
消費者に受け入れられるかどうか分からないのにつくっちまう、
この化け物みたいなエネルギーこそ経済のダイナミズムだ、と。
おいおい、わたくしも床屋経済学者として
ご近所(関田理髪店)ではちっとは名が知れた男だよ。
その「化け物」が、
今完全に消費者の管理下に置かれ[つつ]あるのだ。
経済のシビリアン・コントロール、と言いましょうか。
雇用が減退するような経済システムの「原理」が
そもそも破綻を証明しておるのじゃ。
そう考えるのが正常なのである。
デジタル情報に変換しうるものは、
すべてネット上でやりとりされるようになるでしょう。
皆さん、今のうちに本屋を堪能しておきましょうや。
電子ペーパーで良し、とする者はそれでいい。
おいらは、本が好きなんだよ。
近ごろ、本買ったことないけどさ。あは。
追伸---マタローさんの年賀状で切手シートをゲットいたしました。
末筆ながら、ここに謝意を表しておきます。
その切手シート、50円と80円が各一枚、なんですがね。
せこいよ~、マタロー!
2005.1.26