花見には、ちと遅すぎました。
「散り際の潔さ」の美学に抵抗する根性あるわずかの花びらが、
必死でしがみついておりました。
(見るべきは)月は満月・花は満開というのは、大きな間違いだ、
と吉田兼好は言った。
つぼみだろうが、葉桜だろうが、桜は桜、花は花。
たとえ路上に散り果てていようが、
それも一つの趣、とのこと。



酒の席で大事なのは、酒肴だけではない。
風情というプラスαがなけりゃね。



我が高知七輪愛好会も、遅い春に浮かれてみようかね、
というわけです。



A「風もないのに盃にハラリと花びら一つ、
 というのが、乙な花見なんだけどなー。
 風はあるし、花なんて、探さなきゃないし、
 花はどこへ行ったの?
 ♪Where Have All The Flowers Gone
 幹事!日ィ悪いよー。」



幹事N、憮然としながらも、七輪の火起こしにいそしみます。
酒も入らんのに、歌が出るんだから、
花のない花見もアリでしよう。



B「まー、そー言いなさんな。
 好事魔多し、言うろうが。
 月にむら雲、花に風。
 あえてこれを愛でるんが、風流人ですわ。
 花だ、花だ、言うけんど、
 忘れんと春が来てくれたがやき、それでええわよ。
 えいやいか、花らあ、のうても。」



C「そうそう、一杯行こや。
 花より団子。
 あの世の天国より、地上に楽園を!
 まず地上にある豪勢な食事を楽しもうやいか。」



A「ゴーセイな、っても、ピーナッツとサキイカじゃねーかよ。
 寿司もなければ、刺身もない!
 『長屋の花見』だな、こりゃ。
 あー、やだやだ。こーゆーハレの日にゃー、
 せめてエビスビールぐらい飲みてえもんだ。」



N「会費2000円言うたがは、お主(おんし)やおが!
 言うちょくけんど、炭は会費の中に入ってないぞ。
 このワシが提供した!」



D「そうぜ、シンジロー、
 目の前の食べ物に失敬なことを言うたらいかん。
 俺がちゃんとウルメを持って来ちょらーよ。心配しなや。」



C「よっしゃ。ビールがないなったところで、お爛が上がったぜよ。
 はい、はい、おちょこですよ。」



B「よろしーなー。花には日本酒や。
 シンジローやないけど、盃に花びら一つほしいとこやなー。
 日本人て不思議やで、こんなんで嬉しがるんやからな。」



一同、わーわーがやがや。



今回は、一つ趣向を用意しました。
酒を飲んでは管を巻く、というお下品はやめよう。
花の宴に喧嘩は無粋。
喧嘩ではないスリリングな宴を!



N「え-、宴もたけなわでございますが、
 ぼちぽち、恒例の(?)、今年のお題に移らさせていただきます。
 今年のお題は、『ひかり』、でいきます。
 30分後に始めます。」



ウルメ焼く奴、喰らう奴、酒をまく(こぼす)奴、小便に走る奴、
一句ひねろうと座を立つ奴、うつむいてうめき出す奴、
いずれも、酒の座興での「句会ごっこ」を
1、2回しかしたことのないやつばかり。
それでも始まります。



A「では、私から行きます。
  暑天にうろたえ行けり花の影
 どう? ポイント高いろうが。」



C「『行けり』が、少し座りが悪いねー。」



A「そう? んじや、『うろたえにけり』に戻そうかね。
 なんか、ひねりがないし、『に』がダブルのもどうかな、と。」



D「わしは、前の方が面白いぞ。
 業界用語で言うたら、キャラが立っちゅう。」



C「お題が光やきにねえ。『~にけり』がええぜ。
 句の意は、光がまっすぐに走れないで散乱するということやろ?
 十分ひねっちゅうき、けれんは余計やろう。」



B「じゃ、一つ行きまひょか、軽く。
  夕闇に光飲みたる金柑が 」



E「相変わらず手堅いねえ。
 夕陽を飲んだ赤ら顔の金柑、ときたかよ。
 『が』で止めるところが、小面憎いぞなもし。
 発光する金柑!いい光景やなー。さすが写真屋。
 フォトジェニッ句!
 次、誰?」



D「むふふ、ほんなら俺が行こか?
 腰を抜かしなよ。二つ行くぜえ。
  病みし夜に月をさらいてカンタータ
  水密を齧る少年期歯青白く 」



E「うーん、こらーちょっとすごい所があるねや。
 そんな光もあるろう。
 けんど、妙なかび臭さもあるでねえ。
 勉強のし過ぎで賞ものや。」



B「いやいや、アキオらしうて、よろしいで。」



E「あしがホームラン級のがを打っちゃお。
 ええかよ、
  転がった湯飲みの底の蒼穹が 」



N「ん?
 なんな?催促かよ~。
 お湯、湧いちゅうろう? イケヂ!、
 後ろのバッグに焼酎が入っちゅうき、出しちゃってくれ。 次は誰ぞねえ?J



C「ハヤシ、行きます。
 倒れ伏すげんげの田んぼに人もある 」



一同「???」



E「よしよし、あしが解説しちゃお。
 れんげ畑がある。そこに人の形にれんげが倒れちゅう。
 ああ、ここにも人がいたんか、という意味や。」



C「んー、僕としては、
 日が西に傾く頃、げんげ畑のあぜ道を歩いていた、
 日の沈むまでここに寝転がっておりたいなあ、と思う。
 自分の影がそこにある。
 あ、人が。
 これが自分なのか、影という人なのか分からない、
 という気分を詠んでみたがやけんど。」



A「こりゃ厄介だ。 
 ケンゾウにしては、深すぎる。
 蝶が自分か、自分が蝶か、ってとこかい?
 だったら、こういうのはどう? もっとシンプルにさ。
  れんげ畑倒れ伏したいわれもあり
 次は誰っすか。」



E「俺?
 俺しか居らんやいか。
  きんつばに化石のごとく小豆あり!
 だめ?ダメダメしい?
 では、もう一つ。
  伝令の声空しうす光る苔 」



B「後のはダメの極致。苦し紛れ。
 前のは、川柳?」



E「来年は、川柳にせんかえ?
 俳句は、なんか文学臭があって、いかん。j



D「俳句は庶民の文学やいか。
 川柳こそ、わしらの出る幕はないぞ。」



A「出そろった所で、幹事、点数と〆の一句を、どーぞ!」



N「点数は、ごめん、付けちょらんかった。
 タカハシの『金柑』が、ま、一等ということで。」



A「一句は?J



N「言わな、いかんかよ。
  花は済みやがて夏とはせわしない
  西の日が池の上にもほっかりと
 はい、これで句会の方はおしまい!
 さらなる研鑽と精進を望みます。」



E「そりゃー、おまんやろが!
 皆んなー、それなりに頑張っちょったにねー。」



N「やっばり、お題は『花』にしちょいたら良かったろうか。
 花の下で、花を詠まん、いうのも、殺生やねえ。
 次は、短歌にしょうや。
 都々逸でもええぞ。」



C「いやー、そういう問題じゃー。」





先月(先々月?)、ニフティーのアクセスポイントが、
全国1つに統合されてから、接続出来ない状況がつづいていました。



Niftyのサービスセンターも、その件で問い合わせが殺到しているとのこと、電話しても、まったく繋がらない。



フロッピーに入れて、ThinkPadの外付けFDから読み込んで、
ThinkPadから送信、という、超うざったい手続きをとります。



画像を格納しているのはIBMのノートですから、
写真も送れるわけだ。
おまけとして、一つ送りましょ。
室戸岬から北上し、徳島との県境近くの甲ノ浦という所で発見したものです。
ジュール・ヴェルヌの『月世界旅行』の砲弾をもっと巨大にしたようなもの。
こんなとこでテポドンを作っているのかと思いましたで、あたしゃ。
                       2004.5.8