8112 バイクは面白い。
あちしが最初に乗ったバイクは、ラビットのゲールというクラッチなし、Vベルト駆動のスクーター。
中学校に入ったばかりなのに、親父が「乗れ!自転車より簡単じゃ」と言うので、やってみました。
その通りでした。
ペダルを漕がないでも、走るじゃありませんか。しかも、速い。
「うひゃ~、こりゃ、すんごく快適。」



でも、曲がりません。田んぼに突入しました。
「バイクはハンドルで曲がるんやない!」と親父。
中学生にしてコーナリング技法を体得いたしました。



一通り乗りこなせるようになったので、飽きてしまい、
模型作りやプラモデル作りや本(漫画です)なんか読んでいると、
「次はこれ!」と、ホンダの「スポーツ・カブ」を持ってきました。
鈍重なラビットよりもっと軽快な、スマートかつスポーティーな、
50ccでクラッチないけど三段変速です。
調子こいて走り回っていたら、おまわりに捕まってしまいました。
「中学生やろが?おおっぴらに乗ったらいかんぜよ。」
この一言だけ。



温情あふれるこのおまわりさんを裏切ってはいけないと、
不良なりかけ少年は、その後、勉学にいそしむようになりました。
以来おまわりさんにたてつくような罰当たりにはならなかったのは、彼のような「大きな」大人に巡り合えたからだと思います。
 ・・・大ウソです。



親父が、中坊のこせがれに、どうしてあれはど執心して
バイクに乗せたがったのか、いまだに分かりません。



よくあるような、
「親子でツーリング」の夢を持っていたのでしようか?



そんなことは、一度も言ったことはないし、
実現するとも考えていなかったと思います。



単純に、「こんな面白い乗り物に乗らない手はない」ということと、
せいぜい、「大けがしない程度のソロ・ツアラーに」
とでも考えていたんでしょう。



「バイクは男のたしなみだ」と考えていたフシもあります。
「男の子は単車に乗るべきだ」との理念があったんだろうな。
少なくとも、「順法精神」などは教えてくれんかった。



後年一丁前の暴走族に出世したのは、親父の薫陶のおかげです。
親の愛は山より高く、海より深い。
伝えるべき<理念>を持つ親は、いい。