暖かくなり、天気もまずまず、とくれば、
バイクでひとっ走りしたくなりませんか?



僕は、なります。



(芭蕉じやありませんが)「漂泊の思い」、というんでしょうか、
プイと飛び出していきたいという願望が止みがたくあるんでしょう。



 あるんだよ!!!
 「ない」とは言わせねーぞ、このやろー。
 バイクがなけりゃ、自転車で飛び出せよ。
 自転車なけりゃ、杖ついて行けよ。
 いっぱしの家庭人の面(つら)してんじゃねーぞ!オラー!
 そこんとこ夜露死苦!っつってんだよ~!
   (だんだん暴走族っぽくなってきたぞ。プンプンプププン)



所帯を持った後も、飛び出して行っては顰蹙を買ったものです。



単独者であることが、先ずいい。



タンデム走行も、それなりに楽しくはあるが、三の次以下だ。
動きが鈍重になり、バイクの快が損なわれる。
断じて、相手がいないからではなーい。



単車の快とはなにか?



風と、スピード感と、ヒラヒラ感、でしょうか。
ま、そうとも言えます。
エンジン音やイグゾーストノートも大きなファクターでしょう。
2ストの音や振動はあまり好みではないですが、
吹けきったカーンというサウンドは、またよろしい。
そこそこ吹けたスズキ・GT750(2スト・3気筒・水冷)や、
カワサキのマッハKH(2スト3気筒・空冷)も、また、よか。
シリンダー配置(1~6気筒、パラレル、L型、V型、水平対向、
縦置き・横置き、等のバリエーション)による特有の
バイブレーションと排気音。う-ん、よろしいなー。



エンジンにまたがっている、んでもない。
両の足の間に、もう一つの強力な心臓を従えている、と言うんか、
共存している、と言うんか、バイクの諸機関と濃密な関係を持つ。
という実感がよろしいんでしょうな。



ドライブ、という言葉は、四輪を運転することを指しているよう
だが、真の意味では、単車を操っていることを指すのが相応しい
気がする。



私は、四輪が嫌いなのである。
嫌い、と言うより、憎んでいるんじゃないか、とさえ思う。



四つ足歩行から、二足歩行に移行してから、
歩行の役目から解放された「手」が、人間を創った。
(つい最近の70万年ほど前だ。)
四輪よりニ輪の方が、人間に近いんじゃありませんか。



歴史的にも、二輪の方がずっと後代です。
ペダルとかスプロケットやチェーンもシャフトドライブもなしの、
足で地面を蹴って走ったのが、やっと19世紀の初頭です。
二輪でも走れるんだ、ウソみたい、
という驚愕の大発明だったのです。
ヘリコプターを考案したダヴィンチでさえ考えれんかったんや。



前後のたった二輪で、倒れない!
この大発見を理解できない奴は、バカですよ(たぶん)。



二輪にもハンドルはある、けれど、二輪の霊妙なところは、
操舵はハンドルによらず、重心移動により方向を変えるんす。
とは言うものの、ハンドルがなければ操舵はできない。
二輪が実際どうやって方向を変えるかと言うと、
こいつはわたくし如きには説明できない位ややこしいのです。



簡単?
と言うのなら、おいらに分かるように解説してもらいたい。



重心を右に移動したら、二輪車はなぜ右に行こうとするのか?
そのとき、ハンドルを微妙に逆方向に当てるのは、なぜか?
ハンドルの軸は、なぜ倒れているのか?
言い換えれば、なんのためにキャスター角はあるのか?
駆動力を与えていないとなぜ曲がりにくいのか?
(スロットルをちょい吹かし気味にしないと曲がりきれないのだよ)
なぜ視線の向かうところに進もうとするのか?
(進もうとする方向に常務を取っていないといけない。
 あ、ガードレールだ、などとそこを見ていると、
 当たっちやうね。)



ね、分かるでしょ。
二輪車は、たいへん科学的な乗り物なのです。
あたいが金正日だったら、「主体思想j的乗り物として奨励するね。
四輪にエンジン付ければ、走るのは当たり前でしょうが!
初めから倒れている構造なのだから。
こんなのに(男の)ダンディズムをみとめてはいけない。



エアコンなんか望むな!
 常に吹きっさらしでおれ。
ステレオなんか要るかよ!
 風の音を聞け。
オートマで楽ちんすんな!
 ミッションと会話し、シフトチェンジを繰り返せ。
棺桶みたいな箱の中で談笑するんでねえ!
いちゃいちゃするのは、言語道断。
 体の後方のカルマン渦が友ぢゃー。



寂しいっす。
侘びしいっす。



ダンディズムとは何か?
「侘びしさに耐えることです」と、太宰治は言っています。
ボードレールは、「武士は食わねど高楊枝」と言っている。
                     (うそです。)



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愛機=SUZUKI GS650G<刀>は、軒下で朽ちております。
命知らずの方は、添付の画像を開いてください。  2003.6.11