田舎にはこんなのがあちこちに見られる。
通行人の安全を見守る立ち姿が、いいですね。
もともとは「道祖神」なのでしょう。
建立した村人の心栄えが偲ばれます。
道祖神は「さえのかみ(塞の神)」とも言われています。
こちらの方が古そうです。
ムラの境で、疫病・疫神や害虫の侵入を塞ぎ止める(さえぎる)神さまです。いまでも「虫追い」の行事がありますが、そんな役もしたでしょうね。
境(さかい)は、「他郷」や「異界」との境界線です。
<境>とどう接するかが、すべてのドラマの発祥の原点なんだろう。
<越境>が禁忌だったかどうかは存じませんが、これがロマンを生んだのはたしかです。
道祖神は、越境を禁じない。封鎖する神ではないのです。
行く手の平安を祈念する役目も負っていたと思います。
話を見当違いな所までひっぱります。
日本の文化は、誰が作ったか?(←大風呂敷)
土着民ではありません。
離郷者たちが作ったのです。
ウソだろ、はぐれ者やはんぱ者が文化人だって?
ウソではない、です。
分散する諸国の富をあちこちに移植したり、郷里に持ち帰ったのは離郷者たちです。都会に富を集積したのも、Uターンして郷里に錦を飾ったのも彼らです。離郷者を多く輩出した県ほど豊かになった、とは言えないところが辛いところですけど。
家郷に容れられなかったイエスだったからこそ、世界宗教を創り得たことがぼくの念頭にあります。
男子一度(ひとたび)郷関を出る、ラ・マンチャの男のように。
みんな、それが出来ればねえ・・・。
ぼくは、20キロメートル四方から外に出ることはなかった母やその他の常民たちが好きです。哀惜するという意味で大好きなのです。尻軽文化に目もくれず大地と格闘しお国のため年貢を納め続けた水飲み百姓の祖先たちが。
とりあえず、はぐれ者と常民に幸あれ、と言っておきます。