三月桜の咲く頃に、この寒さですもん。
シャワーばっかりじゃねー、西洋人じゃないのだから、たまにゃ、たっぷりとした湯に浸(つ)かりたいものです。
銭湯恋しやホーヤレホ。
写真は(かつての)わが家の風呂。
憶えている方もいるでしょう。
三代目の風呂桶です。二代目は底が抜け、「ちょっと風呂買(こ)うて来らー」と桶屋に行って、ブルーバードSSSワゴンに放り込んで帰ってまいりました。
粋(いき)なもんです。(どこが?)
木の風呂の前は五右衛門風呂でした。
井戸からつるべで水を汲み、何十回も往復しました。
薪を上手に燃やすにも修練がいる。
火吹き竹というハイテク機器も活躍してくれた。
げす板の上に足を乗せ、うまく底に着地させるのにも
絶妙なテクニックがいりました。
風情がありましたなー。(どこが?)
隣家は内風呂がなく、うちに「貰い風呂」でした。
格別貧乏だったわけではありません。
そういう主義だったのでしょう。
ぼくも不思議でもなんでもなかった。
隣が風呂を沸かしたら「ついで」に頂戴をすればいいではないか。
むしろ、合理的というものだ。
わずか数名のために各戸が貴重な薪を燃やすことはない。
西欧由来の「合理主義者」ども、素ッ首洗ってそこになおれ!
その由緒ある(あるのか?)五右衛門風呂も底が抜け、
改修費用を持たない親父は、風呂桶を注文した。
側面に触れ「アチチ」ということもなくなった。
ひとつの時代の終焉であった。
われは昭和の児(こ)ならずや。(永井荷風)?
『同行衆』は、ぼくが寄寓していた地元の同人誌です。
表紙用のネガを提供したら返って来なかった。
<一口メモ>
全国500万の木製風呂桶愛用者諸君へ。
○材は槙の木がよろしい。「杉の香りが・・・」なんてのはだめです。
耐久性が違います。
○水は少しでも張ってある方がよろしいです。
二週間ほど家を空けていて、帰ってみて驚いた。タガはずり落ちているし、お湯はザーざー漏れ出るし、入れなかったぜ。
○小判型にしなさい!
四角いの作って喜んでいるのは金持ちにまかせなさい。
庶民は車で買って来るのがスマートである。
俺だって四角いのしつらえたかったYO-・・・。
ステンレスやホーローやモドキ大理石は、ヤだYO-。