歌会始のお題は「火」でした。
やんごとない方たちの作はよく練られており、
当たり障りのない所へ落ち着いています。
(と偉そうに言うほど権威はありません。はは。)
中で好きな作品を三つほど。
篠弘さん
音たてて指先に火の揺れ出づる銀のライターいかになりけむ
懐かしい!郷愁をさそいます。
自転車でも恋人でも「マルクス」でも何でもいいです。
三枝昂之さん
迎へ火は今年も焚かず父母はみづからともる蛍であらう
うまいね、どーも。その通り。
永田和宏さん
火の匂ひかすかにただよふ夕暮れを浮力まとひて雪虫は飛ぶ
「雪虫」というまったく知らないものに1点!
火、ではなくその匂いの中で雪虫が舞っているんだけど、
しかも、それを意思的に「飛ぶ」と、ね。
3人とも短歌の専門業者です。
さすがにうまいものです。
「われによき歌うたわせ給え」と水ごりまでした藤原俊成?
みたいな修練があったんでしょうねえ。
達人は、血のにじむ「修練」の痕跡を残さぬものじゃ。