わたしが新卒で入社した会社は
日本でも有数のイケイケ会社だった(と思う)。


イケイケ会社ってなに?
と言われそうなので
勝手に定義すると
売上至上主義で、社員が若くて無秩序な会社。


無秩序というには会社が巨大で
それなりにルールは運用されていたけど
自己主張が強いひとの集まりだった。


ド派手なファッションの社員がひしめくなか
わたしの教育担当になった1年上の先輩は
公務員のような地味スーツの男性。
顔も地味め。


性格はというと
見た目の印象とは違い
とにかく調子がよい。
なんでも肯定、なんでもオッケー。
話が軽妙なチャラ男。


しかしこのチャラ男、
確実に営業ノルマをこなしていく。


見ていると、地味に過去リストに電話をかけたり、こまめに既存顧客に電話したり、
いつも電話の声が響いていた。


わたしの「教育担当」という立場だったが
押しつけがましい物言いは一度もなかった。


むしろ、納得したことだけやればいい、
と放任に近かったが
ある日ポツリと言われた。


「俺は精神論は大嫌いだけど、
辛抱づよく努力するやつにはかなわないよな。結局は精神論になっちゃうんだよ。」


言われたのはほんとにそれだけだった。
だから何をしろってわけでもなく。



急に先輩を思い出したよ。



いやほんとに。
仕事はめんどうくさいことばっかりだけど、
愚直にやり続けるしかないよね。