近年のオリンピックは、そのイベントとしての演出もさることながら、
全体から細部までの「プロデュース力」といいますか、
そういったもののレベルが非常に高いように感じます。
そして、仕事柄でしょうか、
大会のロゴ・マークやメダル、そして、トーチのデザインが毎回気になります。
バンクーバー大会のロゴ・マークは、
イヌイットが道標として使っている「イヌクシュック」と言われる石造を素に
デザインされているそうです。
「イヌクシュック」はイヌイット語で「人間の化身」という意味で、
ロゴ・マークには、「友達」を意味する「イラナーク」という名前が付けられています。
このロゴ・マーク、ブログ等で、漢字の「京」の字に似てるなんていう話題を多く見かけますが、
どことなく、五味太郎さんの絵本っぽい感じもあって、親しみやすい雰囲気が僕は好きです。
そして、トーチ。
ネットを検索してみると、こんな面白いサイトにもヒットしましたが、
まさに、デザインの変遷が見れて、非常に興味深いです。
トーチのデザインは、車や家電に通じる部分を感じますし、
メダル以上に、時代と共にある技術の進歩に裏付けられた「造形」になっていますね。
そういう意味では、今回のトーチはとてもモダンで、非常によくデザインされていると思います。
ある意味、デザインし過ぎていると感じるくらいです。
このトーチ、どんな素材でできてるんだろう?とちょっと検索してみたら、
こんな画像がヒットしました。
この画像で見ると、一見プラスチックの成形品のようですが、
外側の部分は「陽極酸化アルミとステンレス」などが使われているそうです。重さは約1.6キロ。
合計1万2千本を製造したのは、「ボンバルディア社」という、カナダの航空機・鉄道車両の
大手メーカーです。
燃料はプロパンとイソブタンを混合して作ったものらしく、カナダの厳しい気象条件に合わせて
デュアルバーナーシステムになっているとか。
プラスマイナス40度まで耐えられるらしいです。
私的な感想ですが、トーチの形状と炎が出る位置が、イマイチ合っていないようにも感じられ、
また、白いボディ故に余計に、ススで汚れた感じになるのがちょっと残念でした。
しかしながら、こういったプロジェクトのデザインを担当するチャンスは
そうそう巡ってきませんから、携わることができた人たちは大きな達成感があるだろうなぁと
少々羨ましくも感じました。