作家小川洋子さんの講演会が3月23日、明石の子午線ホール(アスピア)で開催されました。

 抽選倍率10倍という難関をクリアした友人のおかげで、ラッキーなことに講演会に参加することができました❣️

 演題は「小川洋子と文学の世界」

 およそ1時間にわたる対談式の講演で、スマートフォンを使って参加者が、リアルタイムに質問や感想などを送信し、その内容も織り交ぜながらという今時のスタイルの講演会でした。

 内容も素晴らしく、文学者、作家としての矜持を感じさせる講演の中から、印象に残った言葉を紹介します。


 ・本を読むことによって、自分とは全く違う価値観を知ることができ、それによって許容範囲が広がり、心豊かになる。

 ・本の世界では誰に邪魔をされることもない。どのように読み解こうが、全てが読者に委ねられている。

 ・作家の役目は評価の線を引かないこと。あやふやな境界線.矛盾こそが文学・芸術の世界。

 ・数字や効率を求められるこの時代、物差しでは測れない喜びを伝えることができるものが言葉の力であり.文学である。

 ・読んで良かった本ほど、どこがどう良かったかを伝えることが難しい。

 ・無類の選択肢を選び出し、設計図を作っていくことが作家の仕事。しかも、それをルールのある言葉というものを使って表現しなくてはならない。そこが難しい。

 ・参加者からの「将来、A Iが作家に置き換わる可能性はあるのか?」という質問に対して

  AIは既にあるもののデータを蓄積し.そこから答えを導き出すものだが、作家は誰も考えたことのない世界を描こうとするもので、根本的に違うと思う。

 ・読者の1人だけでも「自分のためにこの本を書いてくれた」という人がいたら,その人に本を届けたいと思う。

 (言葉たらずで、しかも箇条書きではなかなか臨場感も出ませんが、講演の内容の一部です)


 最後に小川洋子さんからおすすめの本の紹介がありました。


 藤原てい 『流れる星は生きている』

 田辺聖子 『ジョゼと虎と魚たち』

 テネシーウィリアムズ 『ガラスの動物園』

 フィリップクローデル『リンさんの小さな子』


 まだ、読んだことのない本もあり、この機会にぜひ読んでみようと思いました。