第23回 姫島を走る

 

 姫島1)は、国東半島の北、約6kmの沖合に位置する離島で、瀬戸内海西端、周防灘と伊予灘の境界にあります。島の長さは東西約7km、南北約4kmで東西に細長い形をしています。自治体としては姫島村で、島内全域を行政区域としており、人口1,400人ほどの村です。おもな産業は沿岸漁業と車えびの養殖です。車えび養殖は、塩田跡地を利用して始められ、姫島の特産品として全国に知られています(らしいです)。

 

 姫島の成り立ちとしては古事記に登場します。古事記から抜粋します。

 伊耶那岐命(イザナキノミコト)と伊耶那美命(イザナミノミコト)は、高天原におわす神々から、未成熟で水面に浮いた脂のような、クラゲのように漂う状態であった地上世界の修理固成を命じられました。そして授かった天の沼矛(ぬぼこ)を、天の浮き橋に立って下界に指し下ろして掻き回し、引き上げた矛の先から滴り落ちた塩が重なって島ができあがりました。それがオノゴロ島です。二神はオノゴロ島に御殿を建て、男女の交わりをして国生みを始めました。まず、淡路島・四国・隠岐島・九州・壱岐島・対馬・佐渡島・本州を生み、それから六つの小島を生みました。その小島の一つが女島(ひめじま)であり、またの名を天(あま)の一つ根といいます。これが姫島と言われています。

 姫島には、国東市国見町伊美港からフェリーがでており、約20分の船旅です。

 5月17日、快晴。天気予報では真夏日になるくらい暑くなるという事でしたが、思い切って出発してみました。

 今回は、マイカーを使って、国見町伊美港まで行き、姫島行きのフェリーに自転車を積み込んで、姫島に渡りました。

 

今回訪れた場所と経路です。

 

①姫島行きフェリー乗り場   ②姫島港フェリー乗り場    ③観音崎

④旧塩田の煙突    ⑤アサギマダラ春の休息地  ⑥アサギマダラ秋の休息地

⑦拍子水          ⑧比売語曽神社       ⑨姫島灯台

⑩姫島車えび養殖(株)タルミ事業所    ⑪大海のコンボリュートラミナ

⑫海食崖       ⑬姫島海水浴場   ⑭姫島港フェリー乗り場

今回の走行距離は合計約15kmのサイクリングでした。

 

①姫島行きフェリー乗り場

 国東市国見町伊美港の姫島行きフェリー乗り場です。

 

 大人片道580円、自転車の航送料150円。一応車両なので、自動車と同じ書類を提出しなければなりません。

 

 

②姫島港フェリー乗り場

 姫島に到着しました。

 

 約20分の船旅でした。姫島のサイクリングに出発です。

 

 姫島をめぐるには、姫島巡回バス、レンタサイクルや超小型電気自動車のレンタカー2)もあります。

 

              (参考資料より写真を拝借)

 この超小型電気自動車のレンタカーにはとても惹かれたのですが、「自力」を基本としていますので、今回は愛チャリでの移動としました。途中、軽快に走る何台もの一人乗り、二人乗り、四人・七人乗りの超小型電気自動車に出会いました。

 

③観音崎

 姫島は約30万年前以降の火山活動によって生まれた4つの小島が砂洲でつながって一つになった島です。そのため、随所で火山活動の痕跡等を見る事ができます。観音崎もその一つです。

 自転車を置いて岬まで歩いて行きます。

 

 「登山道」という看板があり、確かにプチ登山でした。

 途中、観音崎火口展望所から火口跡を見る事ができます。

 

 一見火口とはわかりませんが、マグマ水蒸気爆発をした跡で丸くえぐれており、残りが岩山として海に突っ立っています。

 写真右側の大き目の岩に、猛禽類のミサゴ(英語名はオスプレイ)が、木の枝を組んだ巣を作り子育てしているそうです。カメラマンが大きな望遠レンズを付けたカメラで狙っていました。

 観音崎の先端に馬頭観音を祀った小さなお堂があります。

 

 大晦日の夜、債鬼に追われた善人を、千人かくまうことができる、といわれていることから、この名前があります。

 この観音崎では全国的にも珍しい乳白色の黒曜石の断崖を見る事ができます。この黒曜石は火山を作る溶岩の一部でガラス質な岩石でテカテカ光っています。

 

 写真ではわかりづらいですね。

 古代の人々には石器の材料として貴重であり、瀬戸内海で唯一の産地であったことから、人々はその原石を求めて姫島にやってきました。その結果、東九州を中心に中国地方や四国地方、鹿児島県種子島から大阪府に至る広範囲の遺跡で姫島産の黒曜石が発見されているそうです。

 

④旧塩田の煙突と車えびの養殖場

 瀬戸内海は干満の差が大きい海域の一つです。江戸時代に、この干満の差を利用して海水を引き入れて塩をつくる「入浜式塩田」が開発され、昭和34年に廃止されるまで製塩業は姫島の主要産業でした。

 

 手前が車えびの養殖池で、遠くに見える煙突はその名残です。

 その後、塩田跡地を活用して車えびの養殖が始められ、今では年間生産量は100トンを超え、全国の養殖車えびの10%近くが姫島から出荷されており、「姫島の車えび」として日本有数のブランドとなっています。東京の高級料理店で出される車えびの刺身は姫島産かもしれません。

 

 反対側には、姫島最高峰267mの矢筈岳が見えます。

 

 これも火山活動の名残です。約9万年前に活動していた火山で、姫島の中央に位置するシンボルである矢筈岳は、複数の溶岩ドームが重なった美しい形から、姫島富士とも呼ばれています。

 

⑤アサギマダラ春の休息地

 アサギマダラは、渡りをする蝶で、5月上旬から6月上旬頃、姫島のみつけ海岸のスナビキソウの蜜をもとめて、南の地から渡来し、休息したのち、涼しい北の地に向かって飛び立ちます。ここは春の休息地です。

 

 海岸沿いの歩道の先にあります。この日は午前8時の時点で、900頭の蝶が観察できたそうです。(蝶の単位は「頭」なんだ!)私が訪れた時は午前11時頃でしたが、結構な数の蝶が舞っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 これも写真ではわかりづらいですね。羽ばたく音が聞こえるくらい、顔の近くまで飛んできます。

 港からアサギマダラの無料観賞バスが出ています。

 

⑥アサギマダラ秋の休息地

 10月中旬頃、世代を交代した蝶が、北から暖かい南の地へと向かう途中で、姫島の金地区のフジバカマの蜜をもとめて、姫島で休息します。

 

 

⑦拍子水

 姫島七不思議1)のひとつで、お姫様がおはぐろをつけた後、口をゆすごうとしたが水がなく、手拍子を打って祈ったところ冷泉が湧き出したという言い伝えから名づけられました。

 

 丸く囲われた所から、泡と共に水が湧き出ています。

 約25℃の炭酸水素塩泉で鉄分を含んでいるので赤い水となっています。海に近いのですが、海水の成分は含まれていないそうです。この源泉を利用して隣には拍子水温泉(姫島村健康管理センター)があり、源泉(約25℃)と温水を加えた温泉(約41℃)の二種類のお湯を楽しむことができるそうです。

 ここでいうお姫様は、後で出てくる比売語曽(ひめこそ)の神です。

 

⑧比売語曽社(ひめこそしゃ) 

 姫島最古の社で、「姫島」の名の由来はここから始まるといわれています。

 

 日本書紀によると、垂仁(すいにん)天皇の御代、意富加羅国(おほからのくに・今の韓国南部)の王子が、白い石から生まれた姫と結婚しようとしたが、それを逃れ、姫島に辿り着いて比売語曽の神になったと記されています。同建物は比売語曽神を祀る神社でもあり、別名“比売語曽神社”とも呼ばれ、毎年4月3日には春の大祭が開かれています

 

⑨姫島灯台

 姫島東端に建つ灯台です。

 

 慶長年間(西暦1596年~1615年)に『小倉城主の細川忠興が、豊後国姫島で「かがり火」を焚いて航行する船に便宜を与えた』と記述されたものがあり、古くから付近を航行する船舶のための要衝であったと思われます。明治35年(1902年)に、沿岸航路の重要地点だった姫島東端へ、航路標識を設置することとなり、2ヶ年の継続工事が行われ、明治37年(1904年)3月20日完成、初点灯しました、

 

⑩姫島車えび養殖(株)タルミ事業所

 ここにも車えびの養殖場があります。

 

 姫島車えび養殖(株)は姫島村も出資する第三セクター方式の会社です。

 

⑪大海のコンボリュートラミナ

 崖の地層の中に見られる瓦を差し込んだような模様は、古くから「瓦岩」と呼ばれていました。火山活動等に伴う地震の揺れで、上下の地層に挟まれた部分が変形してできたと考えられる大分県では珍しい地層で、昭和34年に県の天然記念物に指定されています。

 

 

 

 パネルには詳しく説明されていますが、写真を拡大してみてもよく分かりませんでした。 「コンボリュートラミナ」とは、地震の揺れによる地層の流動化により生じる構造です。

 

⑫海食崖

 海水による浸食でできた崖です。「鷹の巣」と呼ばれています。

 

 崖の上部にボコボコと穴のあいたような地形「タフォニ」があります。タフォニの成因は、海水飛沫を取り込んだ岩石が乾燥することにより塩類を析出する際に、発生する結晶圧が岩石を破壊する「塩類風化作用」と考えられています。

 「鷹の巣」という地名は、古くからこの崖で鷹が営巣することに由来しており、現在も、毎年春に、猛禽類のハヤブサ(絶滅危惧Ⅱ類)が、崖の表面のくぼみを利用して営巣しているそうですが、この日は見ることができませんでした。もう巣立ったのかな。

 

⑬姫島海水浴場

島内で一番きれいで、広さも最大の砂浜です。

海水浴場の施設にはビーチハウス、トイレ、シャワー室、休憩所が完備されており、なんと使用料は無料だそうです。

 

⑭姫島港フェリー乗り場

 フェリー乗り場まで帰ってきました。

 当日はフェリー広場で「姫島おさかな祭」というイベントが開かれており、島の特産品などの売店がたくさん出ていました。また、小中学生対象で「車えびつかみ取り大会」とかいうのもやっていました。それで人が多くてフェリーの臨時便も出ていたのか。

 

 

 梅雨入り前の、少し暑めの晴天でしたが、海は穏やかでとにかく眺めが良かったです。バイクで来ている人たちもいて、絶好のドライブ、ツーリング、そしてサイクリング日和でした。

 

 終わり

 

参考資料

姫島

1)     姫島村ホームページ

URL https://www.himeshima.jp

 

姫島のレンタカー

2)  姫島エコツーリズム

URL https://www.himeshima.jp/kankou/trip/car-rental/