第18回 宗像大社参拝
宗像大社1)は、日本神話に登場する日本最古の神社の一つです。御祭神は、天照大神の三女神で、沖津宮、中津宮、辺津宮にそれぞれ祀られ、この三宮を総称して、宗像大社といいます。
宗像三宮のうち、沖津宮には長女である田心姫神(たごりひめのかみ)、中津宮には次女の湍津姫神(たぎつひめのかみ)、そして辺津宮には三女の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)が祀られています。
三女神については、古事記から引用し、超簡略に説明します。
神代の昔、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の夫婦神は、高天原(たかまのはら)に住む神々から国生みを命ぜられ、淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐島、対島、佐渡島、最後に本州を誕生させ、その後、様々な神を生み出しました。伊邪那美命亡き後も、伊邪那岐命は神生みを続け、最後に天照大神(あまてらすおおかみ)、月夜見尊(つきよみのみこと)、素盞鳴尊(すさのおのみこと)が生まれました。
天照大神は「天界」を、月夜見尊は「夜」を、そして素盞鳴尊は「海」を治めることになりました。しかし、気の荒かった素盞鳴尊は父の伊邪那岐命の怒りに触れ、遠く根の国へ追われることとなり、姉の天照大神に別れを告げに高天原へ赴きますが、その時に山河が鳴り響き大揺れしたため、天照大神は武装して弟を待ち受けました。
素盞鳴尊は天照大神にいくら話しても疑いが解けないため、自分が男神を生めば潔白だとして、誓約(うけい)を申し出ます。
先ず、天照大神が素盞鳴尊の剣を噛み砕き、息を吹きかけると三柱の女神が生まれます。これが宗像三女神の誕生となります。
次に、素盞鳴尊が天照大神の勾玉を噛み砕き、息を吹きかけると五柱の男神が生まれました。これで素盞鳴尊は晴れて身の潔白を証明することとなりました。
田心姫神を祀っている御神体はなんと沖ノ島そのものとされています。九州本土から約60キロメートル離れた玄界灘に浮かぶ島で、古くから人々に信仰されてきました。島そのものがご神体となっているため、通常は一般人の立ち入りは禁止されています。
また、湍津姫神は福岡県で一番大きな島である大島にある中津宮で、市杵島姫神は宗像市田島にある宗像大社辺津宮で祀られています。宗像大社辺津宮を宗像大社と呼ぶ人も多いです。
今回、宗像大社辺津宮の最寄り駅、JR東郷駅から、辺津宮に参拝し、神湊港からフェリーに乗り大島の中津宮に参拝。そして、沖津宮遥拝所を訪ねてみました。
今回訪れた場所と経路です。
➀JR東郷駅(スタート地点) ②宗像大社辺津宮 ③神湊港
④大島港 ⑤宗像大社中津宮 ⑥宗像大社沖津宮遥拝所
⑦宗像オートバイ神社 ⑧遠賀宗像自転車道 ⑨JR東郷駅(ゴール)
今回の走行距離は約23kmでした。
➀JR東郷駅 (スタート)
本日のスタート地点です。
かつての宗像郡は広大な郷であり、この地が宗像郡の東部に位置していたことが「東郷」の由来です。西に直線で5kmほどのところに日露戦争の英雄、東郷平八郎を祀った東郷神社がありますが、関係ないようです。
宗像大社の世界遺産登録を機に、宗像大社へのバスが発着する北口を宗像大社口に改称して、駅前広場を整備、駅舎を大幅リニューアルしアクリルガラスを多用した近代的な駅舎に生まれ変わりました。
宗像大社参拝に出発です。
②宗像大社辺津宮
三宮の総社であり、市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)が祀られており、本殿と拝殿は国指定の重要文化財です。
皇室・国家を守護する神、また道の神様として信仰が篤く、航海安全、交通安全を祈願する参拝者がたくさん訪れます。車の交通安全のお祓いもしてもらえ、福岡県を走る車の大半が宗像大社の交通安全ステッカーを貼っていると言っても過言ではありません(個人の見解によるものです)。
末社が並んでいます。
高宮祭場(たかみやさいじょう)。
本殿から歩いて7分ほどの所にあります。市杵島姫神の降臨の地とされ、社殿がない古代祭場です。
第二宮 第三宮(ていにぐう ていさんぐう)。
本殿のすぐ裏にあります。伊勢神宮の古い社殿を頂戴したもので、第二宮には田心姫神、第三宮には湍津姫神が祀られています。ここを参拝することで、三宮を参拝したことになると言われています。
③神湊(こうのみなと)港渡船ターミナル
大島へのフェリーが出ています。大島の隣、地島へのフェリーも出ています。
大島へは片道大人570円、自転車320円です。
今回乗ったのはフェリー「おおしま」でした。
自転車を積み込みます。
自転車は係員が倒れないように固定してくれました。
大島へ約25分の船旅です。この日は風が強くて波が結構高く、そう大きくないフェリーだったので、結構揺れました。
④大島港渡船ターミナル
大島の玄関口です。
大島は周囲15kmの県内最大の島で、人口は約800人。豊富な魚介類を育む福岡有数の漁場として漁業が盛んです。
大島ターミナルとフェリー「おおしま」です。
⑤宗像大社中津宮
まずは、湍津姫神(たぎつひめのかみ)をお祀りした中津宮に参拝です。
境内に流れる「天の真名井」は延命招福のご利益があるとされています。
また境内の末社には牽牛社(けんぎゅうしゃ)と織女社(しょくじょしゃ)が「天の川」を挟んで鎮まり、七夕発祥の地とされており、毎年8月には鎌倉時代から続く七夕祭が行われます。
天の川と織女神社。神社は崖の上にあります。
牽牛神社は道の反対側の崖の上にあります。
中津宮から島の反対側に自転車を走らせ、沖津宮遥拝所に向かいます。ちょっとした峠を越えるのですが、中津宮の社務所のおねえさんは「大した坂ではありませんよ」と言っていたけれど、中々「大した坂」でしんどかった。
⑥宗像大社沖津宮遥拝所
沖津宮遥拝所に着きました。
左上の小高い丘の上に立つのが遥拝所です。
沖ノ島には一般人の立ち入りが禁止されているので、ここから沖津宮を拝むことになります。
天気が良ければ北西方向に沖ノ島が見えるそうですが、この日はPM2.5のせいか、沖ノ島を見ることはできませんでした。。
沖ノ島は玄界灘のほぼ真ん中に浮かび、全島が国の天然記念物であり、国の史跡にもなっている貴重な島です。住人はなく、女人禁制、上陸時には素っ裸になっての海中での禊、一木一草一石たりとも持ち出すことができない掟などが今も厳重に守られている神聖な島です。島全体が宗像大社の境内地であり、皇室・国家安泰の祈りが連綿と捧げられています。沖ノ島は一般の立ち入りが禁止されており、神職以外は渡島できないようになっています。
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、2017年に世界文化遺産に登録されました2)。「関連遺産群」には中津宮と辺津宮も含まれます。
沖津宮遥拝も済ませたことだし、来たルートを逆に辿り帰路につきます。
⑦宗像オートバイ神社
帰りのルートは遠賀宗像自転車道を走ることにし、自転車道に向かう途中で、宗像オートバイ神社というものを見つけました。
本物のオートバイのエンジンがご神体として祀られています。バイクには疎いのですが、鈴鹿8時間耐久レースを完走した、カワサキZX-10Rという現役のエンジンだそうです。「ツーリングを無事・安全に完走して自宅に帰る事を願う」という面白いコンセプトの神社です。
広島県尾道市の因島には、自転車の神様をお祀りする自転車神社というものがあるそうです。一度行ってみたい。
⑧遠賀宗像自転車道
帰りは、辺津宮近くを流れる釣川右岸の遠賀宗像自転車道を走ります。
「第7回 響灘から玄界灘沿岸をゆく」で紹介した、県道として整備されている自転車道の一部です。途中から、自転車も走れる広い歩道を経由して、JR東郷駅まで行くことができます。
⑨JR東郷駅駅(ゴール)
本日のゴールです。
宗像大社(辺津宮)には参拝したことはありましたが、念願の中津宮そして沖津宮遥拝所を訪ねる事ができました。ただ、沖ノ島を見ることができなかったのが心残りです。また、フェリーの時間の都合で大島の中を走り回ることができなったのが少し残念です。
終わり
参考資料
宗像大社
1) 宗像大社公式ホームページ
URL https://munakata-taisha.or.jp
世界遺産「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
2) むなかた電子博物館(むなはく) > 歴史・文化 > 世界遺産 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
URL https://munahaku.jp/history/okinoshima/


























