第6回 門司港駅~小倉~響灘沿岸へ
暑さも和らぎサイクリング日和になってきました。
今回は前回(第5回)と同じJR門司港駅から出発しましたが、東回りではなく、福岡県を西回りに、関門海峡の九州側を響灘沿岸まで走りました。門司区の海沿いや工場が立ち並ぶエリアを走りますので自然は乏しくあまり景色は良くはありませんが、面白いスポットもあります。
10月9日、JR門司港駅前を出発し、関門海峡から響灘沿岸の白島石油備蓄基地を見に行きました。
今回訪れた場所と経路です。
戸畑渡船場までのルート、橙のルートは渡船
①JR門司港駅(スタート) ②巌流島遠景 ③門司港赤煉瓦プレイス ④JR小倉駅 ⑤常盤橋 ⑥きんたま坂
⑦若戸渡船戸畑渡し場
⑧若戸渡船若松渡し場 ⑨若戸大橋
⑩若松恵比寿神社 ⑪軍艦防波堤 ⑫白島展示館
⑬JR若松駅
今回の走行距離は約36kmのサイクリングでした。
➀JR門司港駅
前回と同じ出発地点です。
②巌流島遠景
第4回の「関門海峡をぐるりとサイクリング(後編)」では下関側、弟子待の巌流島展望台から眺めましたが、今回は門司側からの遠景です。分かり辛いですが、青い船と黒い船の向こう側です。奥には彦島も見えます。明治以降何度か埋め立てられて、武蔵と小次郎の決闘当時に比べて、3倍以上も大きくなっていると言われています。
③門司港赤煉瓦プレイス
赤い煉瓦が印象的なこれらの建物群は、明治45年に建てられた「帝国麦酒株式会社」の工場施設です。その後社名が何回か変わり、2000(平成12)年まではサッポロビール九州工場として稼働していました。
今は、飲食店やギャラリー、BAR等がオープンしており、イベント会場の他、テレビや映画の撮影舞台としても利用されているようです。ここで泡のあるやつを一杯やっていきたかったのですが、飲酒運転になってしまいますので、グッと我慢して先を急ぎました。
関門海峡を抜け響灘に入ってきました。
④JR小倉駅
実質九州の玄関となるJR駅です。写真は北口(新幹線口)ですが、南口にはモノレールが直接乗り入れています。
「銀河鉄道999」や「宇宙戦艦ヤマト」などの名作を生みだした、故松本零士氏は少年時代から高校卒業までを北九州市小倉で過ごしたという縁により、「銀河鉄道999」のキャラクターをラッピング装飾したモノレール車両も走っています。
北九州にゆかりのある漫画作家としては、他にわたせせいぞう氏(高校まで)、北条司氏(高校まで)、等たくさんおり、近くには北九州市漫画ミュージアムもあります1)。
⑤常盤橋
私のブログ第2回「中津街道をゆく」で紹介した九州の五街道の出発地点です。一時期鉄橋として架け替えられましたが、1995(平成7)年、紫川流域の整備事業の一つとして、江戸時代と同じ木の橋として生まれ変わりました。
自転車で渡りたかったのですが、立ち入り禁止となっていました。残念。
橋を渡ると長崎街道が続きますが、往時の面影はありません。
⑥きんたま坂
女性アイドルグループにはとても付けられない、衝撃的な名前の坂ですが、実在します。
かつては唐津街道の一部として栄えたそうです。
名前の由来には2つの説があるそうです。1つは、かつてこの坂の付近で馬鈴薯(ジャガイモ)が取れ、それが別名「きんたま芋」と呼ばれていたというもの。もう1つは次のような説です。昔、坂の付近に一人の木こりが住んでいました。その木こりが囲炉裏端で寝ている時に、囲炉裏の火が「急所」に燃え移ってしまい、その出来事から名付けられたというものです。とても悲惨な伝承で木こりのその後の安否が気になります。
遠くに工場を見ながら軽快に自転車をこぎます。
⑦若戸渡船戸畑渡し場
若戸渡船は洞海湾によって隔てられた戸畑区と若松区を結ぶ航路です。戸畑渡し場は若戸大橋のすぐ下にあります。150円/大人+自転車。
若戸大橋を見上げながら約3分の船旅です。
⑧若戸渡船若戸渡し場
若松側の渡し場です。
⑨若戸大橋
戸畑区と若松区を結ぶ627mのつり橋で、1962年に開通し、赤い橋は北九州のシンボル的存在でした。
完成当時は東洋一のつり橋と言われ、日本の長大つり橋の先駆けでした。開通当初は有料でしたが(無料化前で、100円/普通自動車)、2018年に無料化されました。開通時は歩道もあり歩いて渡れましたが、1987年に歩道が廃止され、1990年に4車線化されました。子供の頃歩いて渡った記憶があります。少し色がくすんでいますが、最近ようやく予算が付いて、塗りなおしの工事が始まりました。近々鮮やかな朱色の橋に生まれ変わるかもしれません。
⑩若松恵比寿神社
境内のすぐ横というかすぐ上を若戸大橋が走る神社で、事代主神(恵比寿さま)と大国主神(大黒さま)をお祭りしています。
各地にある恵比寿神社の「十日ゑびす祭」が有名ですね。私が小学校に上がったばかりの頃に祖父に連れられて、ここの十日ゑびす祭に来た記憶があります。祭の屋台がいっぱい並んでいました。なぜそんな昔の記憶があるかというと、その帰りに小倉井筒屋の前で祖父とはぐれて迷子になり、警察のお世話になったという強烈な記憶があるからです。初めてパトカーにも乗りました。
響灘大橋を渡ります。戸畑区の工場が見えます。
⑪軍艦防波堤
少し寄り道をして、軍艦防波堤を見に行きます。
太平洋戦争後に不要になった軍艦(駆逐艦)に岩石や砂利を詰め込んで沈めて、防波堤の基部として利用したものです。正式名称は響灘沈艦護岸と言うそうです。3隻並べて沈めたそうですが、2隻は埋め立て地に飲み込まれて、姿が見えるのは1隻のみとなっています。写真では「柳」の形が分かります。
詳しくは参考資料をご覧ください2)。
同じ目的で駆逐艦を沈めたところとしては、ここ若松港以外には、秋田港、竹野港(京都府)、小名浜港(福島県)、神湊港(東京都・八丈島)があるそうですが、現在でも船の形が確認できるのはここだけとのことです。今では人気の釣りスポットとなっています。
⑫白島展示館
この沖合に石油備蓄基地があり、その役割や中身を知ることのできる展示館がここ白島展示館3)です。
実際の国家石油備蓄基地は、ここから北北西に約9.5km離れた洋上の男島にあります。男島に近接して少し小さめの女島があり、この2つをまとめて白島と呼んでいます。
展示館3階の展望室から白島がよく見えます。また、周りの工場や風力発電機等が見え、とても眺めが良いのですが、写真撮影は禁止とのことでしたので、ここからの写真はありません。理由を尋ねるとエネルギー安全保障上の観点との事でした。テロでも心配しているのでしょうか。何しろ国家石油備蓄基地ですから。
代わりにホームページから拝借してきた写真を載せます。
隣には、「白島国家石油備蓄基地」と書かれた事務所がありました。
管理は民間に移管しているようです。
⑬JR若松駅(ゴール)
本日のゴール地点、JR若松駅に着きました。時間に追われていたため写真を撮り忘れましたので、Googleストリートビューから写真を拝借しました。
自転車畳んで電車に積んで帰りました。
門司から福岡県の西側を響灘沿岸までやってきました。途中、変な名前の坂や戦争の残骸等興味深い景色に出くわしました。そのうち玄界灘沿岸を志賀島、糸島方面まで行ってみたいと思っています。
終わり
参考資料
北九州市漫画ミュージアム
1)北九州市漫画ミュージアム
URL https://www.ktqmm.jp
2) 北九州探訪録>PICK-UP(特集)>旧海軍の艦船が眠る軍艦防波堤
URL http://kitakyushu-guide.sun.bindcloud.jp/pickup/gunkan-bouhatei.html
白島展示館
3) 白島展示館
URL https://museum.shirashima.jp/