Startin' over… -77ページ目
恋愛って面倒臭い。
とりわけ結ばれてから始まるものは。
膨大なエネルギーを費やしすべての時間をその人を思うことに捧げる。
しかし届くことはない。

二人で心を合わせて過去の関係を破壊することを選択した。
もう前みたいにはなれないね
そう確認しあったのに、一つになった事実をあたかも事故であったかのようにできないか、虚しく消え行く時間が一方的にこの関係から下りようと拍車をかけさせる。


いつものメンバーが集まった。

気温33度の中での3on3。
外のバスケゴールの横をテストを終えた学生たち通り過ぎていく中、そんなこと気にせずみんなが汗だくになる。
デニムにペタンコサンダルで駆け回る。男3人対私とバスケ部出身の男二人。
ジュースをかけて真剣勝負。この歳になってバスケなんぞするとは思ってもいなかった。

私は運動神経が悪い、とりわけ球技は。
奴が率いる相手チームに先制を喰らう。
モスグリーンのTシャツの背中にはっきりと汗じみをつくった祐輔が2点目を決める。
5点先取だ。
何とか一点を決めたい。
ちなみに祐輔はこのあと一回も授業に出てない科目の試験を控えている。
なんて私たちは理由は違えど無茶苦茶なんだろう。


そしてゲームは4対3。

私のスローイングからゲームスタート。拓也と目を合わす。奴のディフェンスが来る。反対方向にいる和馬にバウンズパス。
長身を生かし和馬は後ろを向いたまま片手で、ゴール付近の拓也にパス。
拓也は祐輔の暑苦しいディフェンスをかわす。

「よし、拓也!シュートだ!



と思ったら、大助の頭をかすめ私にバックパス。

「はぁーーー!?」

混乱する中、今日始めてのドリブル。
祐輔がカットしようと突進してくる。
ゴールまで走れねーよ!レイアップシュートを目指し1,2,
「あっ!!!」


「グニャ、ブチ!!」

左足首が・・・

そしてボールが奴に奪われ、大助がシュート!

外れた。すかさず拓也が奪いにかかる。
しかし汗だくの祐輔が体当たりし奪いシュート!


「やったーーー!!」
奴が高らかに叫んだ。
そして、
「次は負けた方は腕立て10回やからな」

満面の笑み。

かつての捻挫癖のある足首は大丈夫であったが、サンダルの鼻緒が切れた。


こうなったら安全のためにも裸足でやるしかない。
試験終了後、家が遠い香奈は帰ってしまったが、琴美と千恵、結菜と一緒に学生ラウンジに行った。

この日もキャンパスの使用電力が90%を超えたので、一部の建物の冷房が止められていた。
学食は時短営業、売店は品薄。
私は朝から何も食べていない。
結局私たちはコーヒーくらいしか買えず、千恵と結菜がサークルの会議に行くまで談笑して過ごした。


「おすっ。」
向かい側の鏡に、バスケットボールが琴美の頭の上に乗っけられたのが映った。
純だった。


こうやって純が変な登場をするから、琴美は部活に行ってしまった。難関私大向けの勉強をしてきた優秀な彼女は、スポーツ推薦で入ってきたある部員がsomeとanyの違いがわからないため英語を落としそうで真剣に心配してる。今日も中学英語の特訓をするらしい。ちなみに彼は、高校時代に全国大会で優勝経験のあるラガーである。

「こっちゃんお疲れ、いってらっしゃい。」



純はバスケットボールを今度は私の頭乗っけだした。
こざっぱりとしたファッションとは裏腹に、実に変わった奴だ。

「あんたさっきから何したいの?」

「なぁ、バスケしよ。」

外の喫煙所には奴の姿が。
違う私を始めたい。