Startin' over… -73ページ目
中学を出て、所属場所を失った。
犯罪を犯せば、無職15歳と報道されるのだろう。
それでも自分で決めたことだから悔いはない。
一年後、もう一度志望校を受けるため受験勉強を継続した。
大嫌いだった塾にも通い始めた。
一歳年下の後輩と共に、机を並べる。
なんだかとても変な気分。
先輩ぶって偉そうにはできない

この時の経験があったからこそ、今は年下年上関係なく付き合うことができる。
年下の上司だろうと敬語を使う。逆に仕事を教えてもらう立場なのに
「私の方が年上だから。」と優位に立つ人間を
見下すようになった。

朝起きて、図書館に向かう。
私のように若い女の子はいない。大学受験の浪人生なのか、司法試験の挑戦者なのだろうか。
毎日顔を合わせる人もいる。
すごくふわふわした立場にいる。
そして夕方になれば塾に向かう。
週3回の集団授業。
中でも土曜日の社会と理科に時間が楽しみであった。
社会は志望校の合格ラインを越えるくらいはできていた。
授業での彼の語りは、歴史や社会の断面を切り取るもので
私の興味をかき立てた。
中学浪人、という特殊な環境。進路相談にもとりわけ乗ってくれた。
あまり人と話さない環境の中、「彼にもっと頼りたい。」
幼い依存心が芽生え始めた。
弱さを見せれば助けてくれる。
「あいつは大丈夫であろう。」そう思われケアの対象から疎外されるのを
何より恐れていた。
私は映画を撮る。
そのためにはいろんな物を見て、いろんな感情に出会うことが大切だ。
自分の目こそカメラであって、自分の心こそ脚本なのだ。

今考えたら笑ってしまうが、中学を出たばかりの私はそう考えていた。
むろん、もっといろんな映像作品を見ておくべきだったと反省している。

6月を過ぎたころ、灰色の空から落ちる大粒の雨。
もうすぐ夏が来る。
自由な高校に入るため。
でもその目標は崩れ落ちそうになっていた。
誰かに甘えたい。誰かに寄りかかりたい。
私だって弱い。
みんなが感じていて当然のこと。
我慢が苦痛になってきた。

そして彼を好きだと気付いた。
誰かを好きだと気付いた瞬間、ピストルで頭を打ち抜きたくなる。
今までは、すべて捨ててきた。
幸せになってならない。
誰も好きにならない。
これ以上。

かつて親友に言った。
彼氏が欲しいなんてきゃぴきゃぴした会話。
「好きな人がいない時間って、恋愛に必要な膨大なエネルギーを蓄えている時間なんじゃないかな?」

彼女にはその後すぐ彼氏ができた。あれから3年、今も仲良く続いている。

だけど、そのエネルギーを蓄える時間が長過ぎた場合、
どうしようもないほど相手を欲しがる感情が、身体と日常をむしばむだけだ。
「なんで好きになったんだろう。」

今年もまた雨が降っている。
暗い昼間の部屋の中、白壁はほんのり青く見える。
呆然んと本棚を見つめ、視界がぼやけていくのを感じる。
わけもなく流れる涙。
15歳の時から、私は何も変わっちゃいない。