下の階でマルボロをふかし、私服のまま教室に入る。
あいつはこの時間まで自習をしていた。
「お疲れ様です。」
室長に適当な挨拶を済ました後、あいつと目が合った。
一気に体中が幸せで満たされた。
そんな脳味噌を心の中でブン殴り、すぐさまロッカーからファイルを取り出した。
どうやら前回至急で出したカリキュラム表に具体性が無いとのこと。
もっと弱点の洗い出しとその克服に何コマ必要かを可視化する必要があるとのこと。
室長からの報告を真面目に聞くふりをする。
どうせ私がやらなきゃいけないし、それは苦では無いが
本来は室長の仕事なのである。
あいつを始め、生徒の何人かは室長が仕事ができないと感づき始めている。
そんなことはどうでもいい。
自習をするあいつの隣に座る。
「ごめんね。」
「いや、大丈夫っす。」
「わかりづらかったよね。」
即席でつくったカリキュラムをいっしょに見ながらヒヤリングをする。
室長を一瞥し、あいつが言う。
「なんかね、案内遅くて考える時間無いってとこにね
一番怒ってる。」とはにかんだ表情で言う。
恐らくお母様のことだろう。
先日電話口で応対した。お父様とは前回の面談でお会いしている。
ちなみに弟さんとも電話の取り次ぎで挨拶をした。
絶対に失敗はできない。
そう思って、ここ数日あいつに忙しいふりして素っ気ない態度を
とってしまった。
赤本やネットの過去問を見ながら、漢文を受験科目に含めるか否かを
相談する。
やはりいつものように手が触れ合う。
わざとなのだろうか。
最初は膝であった。
4年間講師をさせて頂く中、小学生を除き膝と膝がぶつかることは無かった。
最初は偶然だと思っていた。
「これは私の勘違い。」
そう言い聞かせ、でもどこかで期待してみたり。
酒が入っているのを悟られないように高速でタイピングする。
手や指に、あいつの視線を感じる。
「何やってるんだろう。」
仕事で、このくだらない思いをかき消してしまいたい。
でもそれ以上にそう思うことこそ
もっとくだらないのかもしれない。
知性も責任感も無いのであろうか。
ここ数日、私にはこの仕事が向いていないのではと思い続けてきた。
「教え方が下手。」
4年目にしてこの悩みだ。
確かに英語の文法用語、無駄な英単語の丸暗記、それらを排除して
授業を進めてきた。構造で読めるようになってほしい。
不真面目だが局地的には努力した受験経験からそう信じるようになった。
しかし一年担当していても、伸びない生徒さんがいる。
今年は高3。
私の努力不足であろう。
5日ぶりの休みで、排水溝修理業者の訪問で起こされ、
散らかった部屋をさらけ出し、その出費は1万6000円。
良心的だった。
まだ残してる仕事はあると思いながら、あいつを思いつつ二度寝。
どうせ今日は来ていないだろう。
昨日は体調不良と言い残し帰って行った。
夕方近くに空腹で起床。
案の定教室から電話が来ている。
折り返してもつながらないので、適当に髪を整え居酒屋に向かう。
空きっ腹にビールはきついと思いながらも、やはり飲む。
お通しのキャベツ、ポテトサラダ、串揚げを平らげ適当に腹ごしらえ。
午後9時半。
そのまま家に帰るのが嫌だった。
気分を落ち着かせようとカフェに立ち寄る。
ケーキにフォークをさそうとした瞬間、教室からの着信。
なんとあいつの親御さんとの面談をしたとのこと。
そんな重要なことならなぜメールで知らせてくれなかったのか。
トレーを持ってレジに向かう。
「持ち帰りにして下さい。
カップにじゃーって注いじゃっていいんで。」
やはり、今日も出勤だ。
でも本当は、会いたかった。
ここ数日、私にはこの仕事が向いていないのではと思い続けてきた。
「教え方が下手。」
4年目にしてこの悩みだ。
確かに英語の文法用語、無駄な英単語の丸暗記、それらを排除して
授業を進めてきた。構造で読めるようになってほしい。
不真面目だが局地的には努力した受験経験からそう信じるようになった。
しかし一年担当していても、伸びない生徒さんがいる。
今年は高3。
私の努力不足であろう。
5日ぶりの休みで、排水溝修理業者の訪問で起こされ、
散らかった部屋をさらけ出し、その出費は1万6000円。
良心的だった。
まだ残してる仕事はあると思いながら、あいつを思いつつ二度寝。
どうせ今日は来ていないだろう。
昨日は体調不良と言い残し帰って行った。
夕方近くに空腹で起床。
案の定教室から電話が来ている。
折り返してもつながらないので、適当に髪を整え居酒屋に向かう。
空きっ腹にビールはきついと思いながらも、やはり飲む。
お通しのキャベツ、ポテトサラダ、串揚げを平らげ適当に腹ごしらえ。
午後9時半。
そのまま家に帰るのが嫌だった。
気分を落ち着かせようとカフェに立ち寄る。
ケーキにフォークをさそうとした瞬間、教室からの着信。
なんとあいつの親御さんとの面談をしたとのこと。
そんな重要なことならなぜメールで知らせてくれなかったのか。
トレーを持ってレジに向かう。
「持ち帰りにして下さい。
カップにじゃーって注いじゃっていいんで。」
やはり、今日も出勤だ。
でも本当は、会いたかった。
感情移入したら負けだ。
生徒から嫌われるのは好きになられるのと同じくらいどうでもいい。
志望校に受かれば、成績が上がれば他には何も望まない。
私の代わりはいくらでもいる。
だからゴミにならぬよう、やれることは何でもやってきた。
ここにとどまり、生活費を頂き続けるには結果が求められる。
お金を頂くことには、責任が伴う。
その手段として、わかりやすい、満足度の高い授業を提供しよう考えてきた。
その上で生徒さんが塾に来やすいよう関係を構築してきた。
別に嫌われることに個人的な恐れは無い。
至って残念な人間なのかもしれない。
生徒から嫌われるのは好きになられるのと同じくらいどうでもいい。
志望校に受かれば、成績が上がれば他には何も望まない。
私の代わりはいくらでもいる。
だからゴミにならぬよう、やれることは何でもやってきた。
ここにとどまり、生活費を頂き続けるには結果が求められる。
お金を頂くことには、責任が伴う。
その手段として、わかりやすい、満足度の高い授業を提供しよう考えてきた。
その上で生徒さんが塾に来やすいよう関係を構築してきた。
別に嫌われることに個人的な恐れは無い。
至って残念な人間なのかもしれない。