珍しく、ウエストにくびれらしきものが現れた。
きっと食事をとっていないからだろう。
もっともまだずん胴の範疇であるが、体型の変化を感じた。
「恋愛体質だよ、それ。」
朝5時まで地元の親友と電話した。
彼女の旦那、実家の悪口を聞き出し、また私は会社の愚痴を
ぶちまけお互いすっきりした。
そのノリであいつのことも全部吐いてしまった。
テーブルの上にはコーヒー、ビールの空き缶、栄養ドリンク、スミノフの
空き瓶。酒や疲れでは無く、自分の男気に酔いしれる。
彼(か)のうざいと言われるバイトリーダーにならぬよう
外では自制する。
働いた分だけ、給料が発生するとは限らない。
事実上、いや対顧客の視点で考えたら絶対不可欠な仕事だったとしても
本来は社員がやるものである以上、私がやったところで給料を出すことはできない。
ふざけたシステムに対し正義や理想をふりかざすつもりはない。
何を隠そう、私の生き方自体がふざけているのだから
そんなこと屁でもない。
社員はどうやら私の仕事をみていないようだ。
もしかしたら、一番私の仕事を見ているのは
あいつなのかもしれない。
「きっと表情とか見てるんだよ。」
「え?ったく勉強に集中しろよ。」
ポカリスエットのイオンウォーターが無かったので、
スミノフを開けた。
「この前、全然しゃべんなかった。」
「あら」
「したっけあいつがしゃべりだした。」
親友が笑って続ける。
「いい子じゃん。疲れてるとか忙しそうとか察して
俺が笑わせてあげようって思ってるんだよ。」
「冷たくしちゃった。」
マルボロに火をつけた。
「ショックだったろーね。」
「しょんぼりしてた。だから明日は優しくしたい。」
「駆け引きになっちゃってるよ?」
「んなわけねーじゃん!」
「もう、」
「あいつ、俺さえ我慢すればって思って今まで来たんじゃないかな、ずっと。」
「甘えられる人欲しいんだろうね。」
「今日なんかさ、私の授業減らす打診しちゃった。」
「なんで!?」
「だって、他の科目の方やばいんだもん。」
「泣いちゃうよ。」
「落ちて泣かれるなら今から泣かしとくわ。」
「照れ隠しでしょ?」
「は!?違うわ!!」
「ほらやっぱり!」
「なんだよ。」
「スキサケ。」
「そりゃ酒は好きだよ。あいつは知らん。」
「違う!好きだから避けるってこと。」
「ちょっ!!!ライン通話のせいだよ私悪くないし!」
「いっつもじゃん。好き避けするの。」
雨は止んだ。
高気圧がもうじきこの盆地を覆うだろう。
私はあと9ヶ月でこの土地を離れる。
決して愛着をもつことはなかったが、あいつに出会いこの街の見方が変わった。
愛されると思い、信じた気持ちを踏みにじられ、
傷ついているのを認めたくなくて、代わりにその傷をえぐりつづける。
そんなことをして日々をやり過ごしてきた。
でもここは、あいつと出会わせてくれた場所だ。
あいつが生まれ、育った場所。
4月、見慣れた背中があった。
前の室長から告げられた。
「もう一年頑張ることになったから、英語をあなたにお願いしたい。」と。
事情は聞いていた。
大学を辞め、やっぱり戻ることを決めた。
昨年度、冬から始めた勉強では目標へは届かなかった。
問題点は多々あるけど、この一年でそれらを乗り越えること。
それが私に課された仕事であった。
何度も心の中で顔面を殴りながら、気持ちを奮い立たせ、いや
保ちながら、感情を押し殺してきた。
一日一度は、身体の一部が触れ合った。
ずっと無視し続けてきた。
悟られないように、目を合わせないこともあった。
しょんぼりしたあいつの表情が、見ていて苦しかった。
私が他の生徒、男性講師と話をしていると不機嫌になり、
扱いが厄介であった。
拗ねて挨拶もせず帰ってしまうこともあった。
出口まで追いかけて、自習フォローができなかったことを詫びる。
あいつには会話が必要。
特に意味の無い言葉のやりとりで、あいつの顔に輝きが戻る。
高気圧がもうじきこの盆地を覆うだろう。
私はあと9ヶ月でこの土地を離れる。
決して愛着をもつことはなかったが、あいつに出会いこの街の見方が変わった。
愛されると思い、信じた気持ちを踏みにじられ、
傷ついているのを認めたくなくて、代わりにその傷をえぐりつづける。
そんなことをして日々をやり過ごしてきた。
でもここは、あいつと出会わせてくれた場所だ。
あいつが生まれ、育った場所。
4月、見慣れた背中があった。
前の室長から告げられた。
「もう一年頑張ることになったから、英語をあなたにお願いしたい。」と。
事情は聞いていた。
大学を辞め、やっぱり戻ることを決めた。
昨年度、冬から始めた勉強では目標へは届かなかった。
問題点は多々あるけど、この一年でそれらを乗り越えること。
それが私に課された仕事であった。
何度も心の中で顔面を殴りながら、気持ちを奮い立たせ、いや
保ちながら、感情を押し殺してきた。
一日一度は、身体の一部が触れ合った。
ずっと無視し続けてきた。
悟られないように、目を合わせないこともあった。
しょんぼりしたあいつの表情が、見ていて苦しかった。
私が他の生徒、男性講師と話をしていると不機嫌になり、
扱いが厄介であった。
拗ねて挨拶もせず帰ってしまうこともあった。
出口まで追いかけて、自習フォローができなかったことを詫びる。
あいつには会話が必要。
特に意味の無い言葉のやりとりで、あいつの顔に輝きが戻る。