私は地頭悪い。
それ故フリーターの最初の年は、多くの失敗をした。
お金を頂いている自覚も無かった。
先輩や上司に罵倒され、薄っぺらいプライドも粉粉に砕けた。
悔しさと自分に対する怒りが、仕事を覚える原動力だったのかもしれない。
あれから数年経った。
講師リーダー職、教室チーフ。その役職名が他の講師に公表されることも無く、
また自分から名乗る度胸も無く、実質的に管理・新人育成・運営にいくつか携わっていた。
「忙しい。」その一言を発してしまえばすべてが終わる。
講師としては週6で稼働していて、労働時間の7~8割は授業に割かれる。
その隙間時間でスタッフ業務をこなさなければいけなく、
最近はミスも出て来た。
話が長い人間が嫌いである。人の時間を食うことほど許されるものは無い。
結論が無い、指示が曖昧、5秒で終わる指示内容を3分に増幅されて話すことに
いらだってしょうがなかった。
だって与えられて時間が少ないのだから。
事実、教室は機能していない。
相手の時間を貴重なものと認識することは、顧客を相手にする上で必須なことだ。
対アルバイト、とはいえ教室運営に無駄な時間が費やされることを危惧し続けていた。
それ故教室長とのコミュニケーションが不足、必要な情報が回されないこともあった。
古い情報を元に動いてしまい、他の講師を振り回してしまった。
Macbookで頭を叩き割るか、自分の部屋の窓を蹴り割るか、それか記憶を無くすまで飲まないか、
このどれかの方法をとらずには平静を保てない。
授業の講師手配。
体験授業の設定、手配。
ひたすら先方の時間に合わせ、講師のスケジュールを調整する。
それで何とかしのいでいた。
自分が授業をお願いした講師に関しては、全責任を持つ。
そう思い日々をやり抜いていた。
ただボロが出た。
昨日の時点でその授業が振替になった。
生徒さんが直接教室長に伝えたとのこと。
もちろん昨日、開室から閉室まで教室にはいた。
しかし知らされることは無かった。
今日、13時から授業があったため出勤。
授業と質問対応に追われる。
17時、A先生が出勤。
生徒さんが教室に来てないと教室長に尋ねる。
「あ、振替になりました。メール来てない?○○(私)から?」
どうやら私が入室する前に携帯に振替連絡をA先生にするようメールしたとのこと。
私はすぐさまA先生に謝罪した。
ただ、教室長の責任逃れとしか思えない。
そう思う私はやはり無責任なのだろうか。
私が担当した案件だ。私に責任はある。
ただなぜ昨日の時点で知らせてくれなかったのか?
忙しかったからだろうか?笑
私がメールを見ず何もしなかったのが悪いのだろう。
やはり私は無責任なのだろうか。
講師、スタッフのクズなのだろうか。
「はい、今日はK大学の過去問の解説やります。
解いたの見せて。」
「えっと、あ、これだ。」
手渡された問題用紙を見る。
読解・文法、どちらかが目立ってできていないということは無かった。
1つのパラグラフに目をつける。
接続詞を補充する問題だ。
「ここ、構文とれるかい?」
「・・たぶん。」
「じゃ、やってみ。」
確かに5問中4問は正解している。
失点した問題も少ないから時間内にすべて解説できると踏んでいた。
が、しかし
「affectsがV?」
「じゃ、そこのis何?」
「え、あ、そっか。」
「is今時制は?」
「現在。」
「そう、is studying がV。Vは一個だけかな?もう1つ現在時制のものは?」
「use。」
「落ち着け。なんでuseの後ろにareがあるの?」
「useは動作表してる?(動詞なの?)もし動作ならすぐbe(be動詞)来られた?」
「え、useは名詞?」
「そうだね。じゃ、V(構文上の動詞)2は?V(構文上の動詞)1はis。そこのandは
何?何と何結んでいるの?」
フリーズしている。
The researcher is studying too much drinking affects the brains of young people, and says
"the peak years of alcohol use are during the years when the brains are still developing".
結局構文と若干の文法問題の解説で終了。
夏期講習のカリキュラムにまたしわ寄せが。
志望校までの距離は遠い。
ただ学力以上に、自分に足りないものを知ろうともしない姿勢が致命傷だ。
もちろんこちらからは弱点、課題を伝えることはできる。
それに基づいて宿題を出す。
それでも、言われたからやる。という感じが拭えない。
全訳にしろ、構文にしろ、また単語の学習さえ甘いとことが節々に見える。
詰めが甘いどころか、詰っていない。
だが、不安はこれだけでは無かった。
解いたの見せて。」
「えっと、あ、これだ。」
手渡された問題用紙を見る。
読解・文法、どちらかが目立ってできていないということは無かった。
1つのパラグラフに目をつける。
接続詞を補充する問題だ。
「ここ、構文とれるかい?」
「・・たぶん。」
「じゃ、やってみ。」
確かに5問中4問は正解している。
失点した問題も少ないから時間内にすべて解説できると踏んでいた。
が、しかし
「affectsがV?」
「じゃ、そこのis何?」
「え、あ、そっか。」
「is今時制は?」
「現在。」
「そう、is studying がV。Vは一個だけかな?もう1つ現在時制のものは?」
「use。」
「落ち着け。なんでuseの後ろにareがあるの?」
「useは動作表してる?(動詞なの?)もし動作ならすぐbe(be動詞)来られた?」
「え、useは名詞?」
「そうだね。じゃ、V(構文上の動詞)2は?V(構文上の動詞)1はis。そこのandは
何?何と何結んでいるの?」
フリーズしている。
The researcher is studying too much drinking affects the brains of young people, and says
"the peak years of alcohol use are during the years when the brains are still developing".
結局構文と若干の文法問題の解説で終了。
夏期講習のカリキュラムにまたしわ寄せが。
志望校までの距離は遠い。
ただ学力以上に、自分に足りないものを知ろうともしない姿勢が致命傷だ。
もちろんこちらからは弱点、課題を伝えることはできる。
それに基づいて宿題を出す。
それでも、言われたからやる。という感じが拭えない。
全訳にしろ、構文にしろ、また単語の学習さえ甘いとことが節々に見える。
詰めが甘いどころか、詰っていない。
だが、不安はこれだけでは無かった。
ここ最近あいつとまともに10分以上話したことはあるだろうか。
1コマ目を終え、生徒ファイルに落書き用の裏紙、使い古した辞書と文法書を持って
あいつの机に向かう。
「お待たせ、ごめんね。宿題終わった?」
机の隅に乱雑に持ち物を置きながらあいつに尋ねる。
「あと3だけ。」
「え、じゃあやっちゃう?」
「いや、3って大問3。」
「まるまる残ってるの!?」
「うん。」
今日は機嫌がいいようだ。
早速タメ語で話しかけてくる。
某M大学の過去問。偏差値的には今までの出したものより高めだが。
でも大問まるまる残っているとは何事だ?
よく考えてみて、いや考えなかったとしても日本史と古文は未完成、現代文は
ノータッチという事実があるのだ。
去年は滑り止めさえ落ちている。
英語だけでも何とか完成させなければ。
前回の授業は5日前。否定表現の文法プリントとM大、某T大の過去問を渡した。
M大に手を付けたは今日教室に来てからだ。
<家で勉強してないでしょ?>
そう問いかけたいのをぐっと抑えて
「あと1時間で終わる?」
「・・たぶん。」
笑顔で答える。
今までのあいつの様子から見て、そう答えたときは絶対にやり終わらない。
今回もそうであった。
「たぶん。」「とりあえず」この2語を頻繁に使うようでは受験で勝てない。
かねてから心配していたが、一向にその口癖が消える様子は見えない。
「最近儲かってる?」
「全然。昨日も10時45分に早上がりだった。」
その時間、私は塾を出て飲み屋に向かっていた。
比較的ストレスが小さい日だったが無駄に日本酒を浴びるように飲んだ。
「どんな料理出た?」
「たまに鍋来て、作って、暇になって掃除して洗って、あとつっ立ってた。
昨日本当に暇だった。」
「今日はバイト無いよね?」
「今日こそ本当に何も無い。」満面の笑みだ。
「じゃ、22時まで残れる?」
「うん。」
「じゃあ行きます!一問目これ料理の話だねー!
選択肢は4つ。はい、Whenからカンマまで()、これいらない。それから~」
60分間の勝負。
雑談に5分は使ってしまった。不覚だ。
あいつも他の生徒さん同様勉強と関係無い話をしたがることもある。
ここ数日勉強以外の話は一切してこなかった。
寂しそうな表情を見せられることもあった。
ただ一旦話し出すとあいつは止まらなくなる。
久しぶりにわざとらしく膝をぶつけてきた。
先週一週間、夏期講習に関して顧客・会社間でトラブルがあった。
その対応に巻き込まれこちらがカリキュラムを再提案することに。
こちらの疲労を察してか、手に触れることもからかってくることも無かった。
他の生徒さんの前では元気に授業をすることができたが、あいつには見抜かれていたみたいだ。
生徒さんに気を遣わせるなんて講師失格だ。
閉室まで自習させる。
浪人生の鉄則だ。うちの塾の開室は16時。
ただでさえ朝から授業を行う大手予備校に負けている。
あいつは前の教室長からのアドバイスで午前中は図書館で勉強していると言っているが
最近はどうなのであろう。
もし行っているのなら宿題が終わっていないということは無いはずだ。
講師として、あいつの末路が心配だ。
今立て直さないと、今年も勝てない。
21:45
授業・質問対応、雑務を終えやっと落ち着いた。
進路相談、模試、社会問題など生徒さんにふられつい遅くなってしまった。
あいつを閉室までいさせるため、あえて優先順位を最後にしている。
しょんぼりされることもあるが、そのアフターフォローはしているつもりだ。
「ごめん、遅くなって。
今日はK大の文系学部ね。時間きっちしで60分でやること。
発音問題入ってるけど、時間かけすぎたら長文読めなくなるからね、
時間配分に気をつけること。」
「ありがとうございます。」
「何?」
「何ですか?」
「何でもないよ。今週末模試だよね。」
「うん、起きれるかな。」
「最近何時に寝てるの?」
「えっと、帰ってー歩きだから20分くらいでそっから風呂入って12時くらい。」
「そう、これ全訳の宿題あるけど終わる?」
「たぶん。」
RRRRRRRRRR
教室の電話が鳴る。社員が今日は3人もいるのに誰も出ない。
「ちょっとごめん。」
急いでデスクに駆け寄った。
その間あいつがリュックを背負い教室を出ようとする。
「はい、お振替の件ですね。かしこまりました。
講師に伝えておきますね。お電話ありがとうございました。」
電話を切った。
「ちょっと。」
あいつが顔を上げた。
「質問ない?」
「うん、大丈夫。M大英文長くてやばかった。
途中で飽きてきた。」
呆れてものも言えない。
「あれくらい普通だよ。行きたいんでしょ?」
「行きたい。」
「あとね、ちょこちょこ知らない単語が出て来た。
<まだ単語で読む気か。あれほど・・・>
「まぁ推測しなさいってことだよね。構文で読んでいらない文は排除しなきゃ。」
「うん、でもT大はね最初の長文けっこうできたよ。」
確かに大問4まではどれも安定した8割代だった。
ただ文法が壊滅的だった。
「ねぇ。」
「何?」
「最近塾居心地悪い?」
「え、何でですか?」
「だってすぐ帰るじゃん。」
勉強と言っても最近は単語帳を眺めるばかりで
あいつが手を動かしているのを見たことが無い。
「え?そうですか?」
少なくとも22時までいたことは数えるほどしかない。
浪人生のストレスはわかる。室長への不信感を抱えているのもわかる。
「うん、この前だって2時間くらいしかいなかったじゃん。」
「あ、あれは~。」
言い訳のオンパレード。
「親には理由言えば大丈夫だし。」
「うーん、あなた受験生なんだからこの教室で一番偉いと思いな。
でどんどん講師利用して。」
「はい。」
顔がほころんでいる。
わかってないだろ絶対。
「先生まだ帰んないんですか?」
「えー、どうなんだろ。」
「何時に帰るの?」
「しらなーい。」
1コマ目を終え、生徒ファイルに落書き用の裏紙、使い古した辞書と文法書を持って
あいつの机に向かう。
「お待たせ、ごめんね。宿題終わった?」
机の隅に乱雑に持ち物を置きながらあいつに尋ねる。
「あと3だけ。」
「え、じゃあやっちゃう?」
「いや、3って大問3。」
「まるまる残ってるの!?」
「うん。」
今日は機嫌がいいようだ。
早速タメ語で話しかけてくる。
某M大学の過去問。偏差値的には今までの出したものより高めだが。
でも大問まるまる残っているとは何事だ?
よく考えてみて、いや考えなかったとしても日本史と古文は未完成、現代文は
ノータッチという事実があるのだ。
去年は滑り止めさえ落ちている。
英語だけでも何とか完成させなければ。
前回の授業は5日前。否定表現の文法プリントとM大、某T大の過去問を渡した。
M大に手を付けたは今日教室に来てからだ。
<家で勉強してないでしょ?>
そう問いかけたいのをぐっと抑えて
「あと1時間で終わる?」
「・・たぶん。」
笑顔で答える。
今までのあいつの様子から見て、そう答えたときは絶対にやり終わらない。
今回もそうであった。
「たぶん。」「とりあえず」この2語を頻繁に使うようでは受験で勝てない。
かねてから心配していたが、一向にその口癖が消える様子は見えない。
「最近儲かってる?」
「全然。昨日も10時45分に早上がりだった。」
その時間、私は塾を出て飲み屋に向かっていた。
比較的ストレスが小さい日だったが無駄に日本酒を浴びるように飲んだ。
「どんな料理出た?」
「たまに鍋来て、作って、暇になって掃除して洗って、あとつっ立ってた。
昨日本当に暇だった。」
「今日はバイト無いよね?」
「今日こそ本当に何も無い。」満面の笑みだ。
「じゃ、22時まで残れる?」
「うん。」
「じゃあ行きます!一問目これ料理の話だねー!
選択肢は4つ。はい、Whenからカンマまで()、これいらない。それから~」
60分間の勝負。
雑談に5分は使ってしまった。不覚だ。
あいつも他の生徒さん同様勉強と関係無い話をしたがることもある。
ここ数日勉強以外の話は一切してこなかった。
寂しそうな表情を見せられることもあった。
ただ一旦話し出すとあいつは止まらなくなる。
久しぶりにわざとらしく膝をぶつけてきた。
先週一週間、夏期講習に関して顧客・会社間でトラブルがあった。
その対応に巻き込まれこちらがカリキュラムを再提案することに。
こちらの疲労を察してか、手に触れることもからかってくることも無かった。
他の生徒さんの前では元気に授業をすることができたが、あいつには見抜かれていたみたいだ。
生徒さんに気を遣わせるなんて講師失格だ。
閉室まで自習させる。
浪人生の鉄則だ。うちの塾の開室は16時。
ただでさえ朝から授業を行う大手予備校に負けている。
あいつは前の教室長からのアドバイスで午前中は図書館で勉強していると言っているが
最近はどうなのであろう。
もし行っているのなら宿題が終わっていないということは無いはずだ。
講師として、あいつの末路が心配だ。
今立て直さないと、今年も勝てない。
21:45
授業・質問対応、雑務を終えやっと落ち着いた。
進路相談、模試、社会問題など生徒さんにふられつい遅くなってしまった。
あいつを閉室までいさせるため、あえて優先順位を最後にしている。
しょんぼりされることもあるが、そのアフターフォローはしているつもりだ。
「ごめん、遅くなって。
今日はK大の文系学部ね。時間きっちしで60分でやること。
発音問題入ってるけど、時間かけすぎたら長文読めなくなるからね、
時間配分に気をつけること。」
「ありがとうございます。」
「何?」
「何ですか?」
「何でもないよ。今週末模試だよね。」
「うん、起きれるかな。」
「最近何時に寝てるの?」
「えっと、帰ってー歩きだから20分くらいでそっから風呂入って12時くらい。」
「そう、これ全訳の宿題あるけど終わる?」
「たぶん。」
RRRRRRRRRR
教室の電話が鳴る。社員が今日は3人もいるのに誰も出ない。
「ちょっとごめん。」
急いでデスクに駆け寄った。
その間あいつがリュックを背負い教室を出ようとする。
「はい、お振替の件ですね。かしこまりました。
講師に伝えておきますね。お電話ありがとうございました。」
電話を切った。
「ちょっと。」
あいつが顔を上げた。
「質問ない?」
「うん、大丈夫。M大英文長くてやばかった。
途中で飽きてきた。」
呆れてものも言えない。
「あれくらい普通だよ。行きたいんでしょ?」
「行きたい。」
「あとね、ちょこちょこ知らない単語が出て来た。
<まだ単語で読む気か。あれほど・・・>
「まぁ推測しなさいってことだよね。構文で読んでいらない文は排除しなきゃ。」
「うん、でもT大はね最初の長文けっこうできたよ。」
確かに大問4まではどれも安定した8割代だった。
ただ文法が壊滅的だった。
「ねぇ。」
「何?」
「最近塾居心地悪い?」
「え、何でですか?」
「だってすぐ帰るじゃん。」
勉強と言っても最近は単語帳を眺めるばかりで
あいつが手を動かしているのを見たことが無い。
「え?そうですか?」
少なくとも22時までいたことは数えるほどしかない。
浪人生のストレスはわかる。室長への不信感を抱えているのもわかる。
「うん、この前だって2時間くらいしかいなかったじゃん。」
「あ、あれは~。」
言い訳のオンパレード。
「親には理由言えば大丈夫だし。」
「うーん、あなた受験生なんだからこの教室で一番偉いと思いな。
でどんどん講師利用して。」
「はい。」
顔がほころんでいる。
わかってないだろ絶対。
「先生まだ帰んないんですか?」
「えー、どうなんだろ。」
「何時に帰るの?」
「しらなーい。」