明らかに身体で会話をしていた昨日の授業。
夏期講習を終えてから、あいつの授業は週1回一時間。
それでも毎日顔を合わせているから、そのことが不思議に思える。
勝負は、月に4時間しか残されていない。
私大入試、センター試験。
模試の結果からしたらセンター対策を優先するべきだが、カリキュラム構成で迷走していた。
久しぶりにこんなに近くに座った。
自習席でとなりに座ることはあっても、周りの視線もあるから、
距離をとって座っている。
仕切りがつくる陰もあり、いつもより、というかこれが本来の距離だったのかもしれない。
「第一段落での重要文線引いて。」
「えっと・・。」
また変な所で文を切っている。
なぜそこからOになるのに、スラッシュを入れてるのか。
that以下の節の理解がめちゃくちゃだ。Vを無視して後ろに注視した結果、失点している。
肘がふれた。
身体が大きい男の子となら、よくあることだけれど
あいつは細身。
最近にしては珍しかった。
英文をみつめるあいつ。
頭がこちら側に近づいてくる。
明らかに他の生徒との距離感とは違う。
触れてはいないものの、体温を感じる。
「ここ?」
「そう。訳」
「え、ちょっと待って。」
「Sはどこまで?」
「stateの手前まで?」
「じゃあそっちのhave declinedは?」
「そっか、えっとー。」
また手前の単語から適当に訳していくあいつの悪い癖が再発した。
センター長文ならその力づく読みでも片付けられるが、私大となったら別である。
頭の中で整理して内容を整える。それもできるようになってほしい。
「はい、設問いきます。」
とりわけ、良くも悪くもない授業であった。
だけどそんなの上の空で、一番近くにいられた。
それだけでに、一週間で一番の幸せを見出だす。