電車からバスに乗り換え、いつもの通学路を行く。
テスト期間と言えど夏休み同然。ましてや休日。バスの中に学生らしき者の姿はなく、まばらに高齢の方々の姿があるだけだ。
各駅停車のバス。
昨日まで恋人のように思ってた男と、これから友達として会いに行く。
なんだかおかしな感覚だった。
こんな日に限ってシフォンのピンクのワンピース。昨日の夜から着てるもの。決してフェミニンなデザインではないけど、男友達からは評判が良かった。
どうしたらいいかよくわからない。とりあえず自分の女である部分を全否定したくなった。
バスに親子連れが乗り込んできた。30代後半とおぼしき母親と4~5才の娘。
しばらくすると母親は、何度注意しても落ち着いて座ってられない娘の頭を叩いた。
娘は泣き出した。
なぜかその時は、叩いた母親ではなく娘に嫌悪感を抱き、睨みつけてしまった。
やがてその親子は、大学のいくつか手前のバス停で降りた。
子供なんか、私に産む資格は無い。
故郷で、慎吾を愛し始めたと同時に心に言い聞かせてた。
どうせ未来なんか無いから、愛し合えるその一瞬を精一杯分かち合いたくて、私は・・・私は・・・。
だけど奴には届かなかった。
「はい、終点大学前です。」