Vain,passion | Startin' over…
※いつも御覧頂き誠にありがとうございます。この先には若干の性的描写がございます。18歳未満の方及び不快に思われる方は、読み飛ばして頂きますようお願い申し上げます。






































ワンピースをめくり上げられ、インナーのキャミワンピも脱がされた。下着姿にされた。素直に本能的にはなれなかった。
生理中に交わるのはこれで何回目だろうか。

「バスタオル、借りていい?」
ベッドに座り、自分を解放できずにいた。

「え?ああ…きょおは、く・ち・に出すの!」

「…でも血ついたら嫌だし。洗濯大変じゃん(ふとん干す場所無いんだから)」
「でも上は見たいな。」

窓から洩れる光によって、青く照らされる狭い部屋。奴の手は私の背後にまわり、ブラのホックが外された。
ゆっくりと取り払われ、奴の顔が胸に近付いてくる。
〈うずめて欲しい、その愛しい頭を〉

だけど私の手は、カーテンレールに干してあるバスタオルへと伸びて、勝手にベッドに敷きはじめた。


本当に素っ裸になってベッドに横たわる。
シーツがいつも気持ちいい。


「いじめて…」

奴の瞳が黒かった。光一つ通さぬかのように。
しかし白目は潤んでいた。

〈どこを見ているんだろう。〉


仰向けになり横にだらしなく垂れる私の胸。
この体勢になるたびに、自分に何の魅力も無くて、つまらない身体だと思われてるんじゃないかと自信を無くす。

奴が同じく仰向けになる。

「おい、舐めて。」

どんな風に愛しただろう。きっと寂しい気持ちを押し殺して、もしくはそれを反動にして奴に快感を与え続けたのか。
言葉にして、奴に気持ちを伝えたことはない。
そうするべきでないと思ったから。

舐めるたびに、伸びっぱなしの傷んだ髪が顔にかかる。
口や鼻の周りが奴の体液と自分の唾液でべたつく。そのべたつきを拭うかのように、さらに舐め続ける。
喉の奥まで入れようとして、いつものようにむせる。
「大丈夫?無理するなよ」
優しくはないけど、落ち着いた声で奴が言う。
私を認めて欲しかった。
愛して欲しいくらい、奴を愛した。

自分にできる表現方法は、これしか残されてないように思ったから。


「勝手に動けよ。」


硬さが最高潮になったところで、奴が素っ気なく言った。

奴は下着を外す時以外、まだ私の身体に触れていない。

少しだけ、泣きたかった。

銀の袋を破って、直立したものに被せる。

「RRRRRRRRR…!!」

スマホの画面が着信を知らせている。奴のバイト先からだ。

「出なくていいの?」

「いい。面倒臭いから出ない。」

「人足りないんじゃないの?」

「行かないよ。面倒臭い。」


それから間もなく2回目の着信。
だけど、女性の名前だった。"四ツ谷 唯"。


「出なよ。」

私に悲しむ権利も、嫉妬する資格も、傷つく余地も無かった。
まして、奴からは、これから10年20年経ったってサナを思う気持ちが消えることは無いと言われてるのだから。

「出なよ。」

お願いだから出て。

「いい、早く上乗って。」

「でも…」

奴に押し倒されて、いきなり奥まで入れられた。

「脚からませて。」

腕も奴の首に絡ませる。

「クッ…何これ、今日ヤバい。」
奴の表情はどんなふうに歪んでるだろう。

この一体感が、いつまでも続けばいいのに。
溶け合うような心地。
奴とつながっている。私は一人じゃない。
この瞬間を求めて、私は日々の時間を浪費している。すべての他のものが、空虚に思えてくる。友達さえ。

奴が動けば動くほど、自分の内側が温かみを増してきた。奥までくるものがはっきりと感じられる。私の内側へと奴が訴えかけてくる。
それを全身全霊で受け止めようとするほど、心臓が締め付けられ、感情が湧き出てくる。

それは愛しさだと思っていた。

奴の名前を呼ぶ。
そして背中に爪を立てる。

この生きていて一番幸せな時間。


激しく腰を打ち付け続ける奴に、乱暴に唇を塞がれた。今日初めてのキスだった。