虚 | Startin' over…
※いつもご覧頂きまして誠にありがとうございます。この先には若干の性的描写が含まれますので、18歳未満の方及び不快に思われる方は、読み飛ばして頂きますようお願い申し上げます。













目が覚めた。
それから奴は私の手の中で果てた。
再びこの胸にしがみつく。必要とされることが、何よりもの喜び。
幸せな朝だった。

「ウニュ」

ときおり意味のわからない擬声語を発する。2歳児みたいでかわいかった。


しばらくそのままであった。
頬を何度も胸に擦り付ける。
この前スーツ姿でバーで貧困問題を語っていた姿からは想像もつかない。
奴が望むまで、ずっとそのままでいるつもりだった。

「あのさ…。」
ふと22歳の男に戻った。






「俺言っておかなきゃならないことあるんだけど。」




「何?」
奴はまだ私の心臓の上。












「俺沙那が好きなんだよね、一年の頃からずっと。」







昨晩の間で、愛情をすべてさらけ出した後だった。


「それでもいい?」
「私は平気だよ、全然。」





〈やっぱり、愛されるはずなんか無い。〉


〈最初から、少しおかしいと思ってた。〉


〈沙那さんと違って、美しくは無いし。〉


〈私はおもちゃ以下?〉



知らない方が幸せだったのではないか?
押し潰され破裂するような痛みと共に、心臓が熱を帯びる。
涙が出て本心を悟られるのが怖くて、とっさに平静な口調で返した。


「そっか。」
その時奴は笑顔だったのだろうか?
まだこの腕の中にいる。
〈私は沙那さんにはなれない。でも…〉


〈求めるのを、やめないで…〉





昨夜、切なげな声を上げながら、表情を歪めた奴に言った。
「私くらいには甘えなさい、」と。


確かに奴は求めていた。



沙那さんへの思いが伝わるまで、奴のそばにいてあげることが、私にできる唯一のこと。


〈誰にも触れられなくなるなら、傷ついた方がまし。〉



それから奴は、朝ごはんも食べずに帰って行った。
明後日の夜にまた会おうと言って。