心地好いほど勢いがある大雨だった。
すべてを洗い流してくれるような潔さが好きだ。
奴はもう着いたらしい。
化粧水のパックをはがし、乳液をなじませる。
ヘアターバンをとり、ボサボサロングにキャップをかぶる。
「デートなんかごめんだ」
なるべく気が抜けたようで、かつだらしなくないファッションを心掛けた。もちろんすっぴんのままで行ってやる。
ただただ酒が飲みたかった。
「傘もってんのかな?」
しっかりセットした髪型が雨で無残に破壊され、ドン・キホーテの前で縮こまってる奴の姿が想像できた。酒盛りの前のローテンションだけはごめんだ。
「早く傘入れてやんないと、」
走る必要があったから、仕方なく唯一のペタンコ靴である新品のエスニックサンダルを履いて部屋を飛び出した。
繁華街に向かって走る、そして容赦無く濡れる足。奴に電話した。