ある案内でのこと。
そのマンションは築4年の新しいマンションでした。駅から徒歩8分。メインエントランスにはコンシェルジュがいる立派なマンションです。
共用施設も素晴らしく、24時間常駐管理で来客用のゲストルームやキッズルーム、シアタールームまである、今どきの至れり尽くせりのマンションです。
チャイムを鳴らして、いざ内覧。
玄関を開けると、そこにはなぜか暗い空間が・・・。そう、玄関に照明がついていなかったのです。決してこのマンションが陽当たりの悪いマンションということではありません。訪問したのが午後3時。そんな時間に、ましてや玄関に光りが燦々と入るマンションはありません。ただ玄関に照明がついていなかったばかりに暗い部屋に感じてしまったのです。
お部屋自体は、まだ築4年。
とてもキレイに使われており、そのままリフォームなしでも住めるお部屋です。購入時に多くのオプションを利用したステキな部屋です。居室の扉からリビングの扉まで、すべてをモスグリーンに統一。キッチンのキャビネットや洗面所のボウル、お風呂の壁までもモスグリーン。癒し系の色にしたかったという売主さんの希望で、とてもいい雰囲気にまとまっていました。
しかし、そこまでステキな部屋なのに玄関が・・・暗い。その上、リビングのカーテンを閉めたままでお客様を案内しているのです。確かに、リビングは天井が高く、その窓にはお気に入りのグリーンの花柄のカーテンが掛かっていました。きっと売主としてはそんな自慢のカーテンを見せたかったのでしょう。しかし、逆効果。お客様にとっては、薄暗い部屋にしか見えません。
売主のなかには、日常のすべてを見せることが買主への義務のように感じている方がいらっしゃいます。悪いところはすべて見せる、それが後日トラブルにならないために必要なことだと考えているようですが、そうではありません。もちろんウソをつくことはダメですが、あえて自宅の欠点をさらけだす必要はありません。
大切なことは、あなたの部屋は商品だということを理解しておくことです。商品ですから少しでもその商品が良く見えるように工夫すること、それが売主の仕事です。その意味では生活感はなるべく見えないようにすることが大切です。
売主にとって必要なのは生活感を見せることではなく、夢のある生活を見せること。内覧したお客様がこの部屋に住んでみたいという気持ちにさせることです。くれぐれもお間違えなく。
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