何を学ぶと英会話の練習になるのか? | NHK英語教授がお伝えする英会話上達のイロハ

NHK英語教授がお伝えする英会話上達のイロハ

NHKの英会話番組講師でもある木下和好が英会話上達のイロハを余すところなくお伝えしていきます。

英会話を習いたいと思う時、何を学ぶと習得したことになるかが明

確になっていない人が多い。教える側も何をどの順序で教えるべきか

がわからない場合が多い。それは「英会話」が何であるかの定義が曖

昧だからである。

多くの人は「質疑応答」が英会話であると思っている。そういう立

場の英会話レッスンは、先生が色々と質問し、学生がそれらに正しく

答えられるかの練習になる。でも質問の内容は場当たり的になり易く、

質問パターンも特定な英文構造にかたよりがちとなり、応答も”Yes”

”No”だけになることが多く、あるいは単純化された文章でも十分

な答になる。

 ある人達は、英会話は「対話」であると考える。「質疑応答」も対

話の一種であるが、必ずしも質問に答えるのではなく、発言された

内容になんらかの反応をすることを意味する。この練習の典型的な

形は、ネイティブスピーカーとひたすら話を続けることである。

 以上の2つ学び方は、とても大切で有効ではあるが、大切な要素

が欠ける危険性がある。それを避けるために、英会話のもう一つの

定義付けが必要となる。それは「英会話=情報伝達」である。自分

が発言しなければ伝えるべき情報が伝わらない。そのために使われ

る英語(英文)が英会話そのものである。「情報伝達」の観点から

見ると、英会話は必ずしも「対話」「質疑応答」とは限らない。一方

的発言でも、それが情報伝達のための発言であるなら、英会話の一

種となる。何かのテーマに関して意見を述べたり、スピーチをする

のも広義の英会話である。それらも「情報伝達」だからだ。

 もし英会話が情報伝達 そのものであるなら、学習方法や学習内容

も異なって来る。又習得すべき英文の情報価値を吟味する必要もあ

る。私が中学生だったころ、学校の英語の教科書には “I am a boy.”

とか”This is a pen.” という英文が多くあった。でも後にこれらの

英語は価値無しとの烙印をおされた。なぜならそれらの文章はわざ

わざ表現しなくても明らかな事実で、情報価値はゼロということに

なるからだ。でも英語指導者達はその時大きな判断ミスを犯した。

それは情報価値がゼロと思われた英文は、英文の形そのものではな

く、その内容であったはずだ。たとえば全く同じ文型で “I am an

English teacher.” とか “This is my address.” という英文の場合、

情報価値は非常に高くなる。なぜなら口で表現しなければ、その情

報が他の人に伝わらないからだ。英語の教科書改訂も、文型ではな

く情報価値を念頭になされなければならなかった。”This is a pen.”

が言えない人は”This is my address.” は言えず、”I am a boy.” が言

えない人は “I am an English teacher.” も言えないはずである。

 情報伝達としての英会話を習得する時に一番大切なのは、伝えた

い内容が何であっても、それらを瞬時に英作文し音声化する訓練で

ある。すなわちあらゆる英文を作り出すための必要最低要素を脳裏

に刻み込み、それらを自由自在に組み合わせることの出来る応用力

を身に付けることである。

 実際母国語の生きた会話は、今まで一度も練習したことのない

英文の連続である。すなわち本当の会話は、「英文創造」の繰り返し

である。英語を話す時も、どんな英文でも瞬時に創造出来ることが

重要である。この観点に立つと、英会話の学習法もおのずと変化し

てくるはずだ。



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