
英会話を習いたいと思う時、何を学ぶと習得したことになるかが明
確になっていない人が多い。教える側も何をどの順序で教えるべきか
がわからない場合が多い。それは「英会話」が何であるかの定義が曖
昧だからである。
多くの人は「質疑応答」が英会話であると思っている。そういう立
場の英会話レッスンは、先生が色々と質問し、学生がそれらに正しく
答えられるかの練習になる。でも質問の内容は場当たり的になり易く、
質問パターンも特定な英文構造にかたよりがちとなり、応答も”Yes”
か”No”だけになることが多く、あるいは単純化された文章でも十分
な答になる。
ある人達は、英会話は「対話」であると考える。「質疑応答」も対
話の一種であるが、必ずしも質問に答えるのではなく、発言された
内容になんらかの反応をすることを意味する。この練習の典型的な
形は、ネイティブスピーカーとひたすら話を続けることである。
以上の2つ学び方は、とても大切で有効ではあるが、大切な要素
が欠ける危険性がある。それを避けるために、英会話のもう一つの
定義付けが必要となる。それは「英会話=情報伝達」である。自分
が発言しなければ伝えるべき情報が伝わらない。そのために使われ
る英語(英文)が英会話そのものである。「情報伝達」の観点から
見ると、英会話は必ずしも「対話」「質疑応答」とは限らない。一方
的発言でも、それが情報伝達のための発言であるなら、英会話の一
種となる。何かのテーマに関して意見を述べたり、スピーチをする
のも広義の英会話である。それらも「情報伝達」だからだ。
もし英会話が情報伝達
そのものであるなら、学習方法や学習内容
も異なって来る。又習得すべき英文の情報価値を吟味する必要もあ
る。私が中学生だったころ、学校の英語の教科書には “I am a boy.”
とか”This is a pen.” という英文が多くあった。でも後にこれらの
英語は価値無しとの烙印をおされた。なぜならそれらの文章はわざ
わざ表現しなくても明らかな事実で、情報価値はゼロということに
なるからだ。でも英語指導者達はその時大きな判断ミスを犯した。
それは情報価値がゼロと思われた英文は、英文の形そのものではな
く、その内容であったはずだ。たとえば全く同じ文型で “I am an
English teacher.” とか “This is my address.” という英文の場合、
情報価値は非常に高くなる。なぜなら口で表現しなければ、その情
報が他の人に伝わらないからだ。英語の教科書改訂も、文型ではな
く情報価値を念頭になされなければならなかった。”This is a pen.”
が言えない人は”This is my address.” は言えず、”I am a boy.” が言
えない人は “I am an English teacher.” も言えないはずである。
情報伝達としての英会話を習得する時に一番大切なのは、伝えた
い内容が何であっても、それらを瞬時に英作文し音声化する訓練で
ある。すなわちあらゆる英文を作り出すための必要最低要素を脳裏
に刻み込み、それらを自由自在に組み合わせることの出来る応用力
を身に付けることである。
実際母国語の生きた会話は、今まで一度も練習したことのない
英文の連続である。すなわち本当の会話は、「英文創造」の繰り返し
である。英語を話す時も、どんな英文でも瞬時に創造出来ることが
重要である。この観点に立つと、英会話の学習法もおのずと変化し
てくるはずだ。
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