CINEMA 4Dは大変高機能なソフトですが、それだけに、どこから手をつければ良いのか分からない場合もあると思います。そこでこのブログでは、何かを作りながら、同時に操作も紹介していく実践的な内容で、とりあえずCINEMA 4Dが少し分かるくらいの記事を書いてみたいと思います。
■CINEMA 4Dで動物をモデリングするには
CINEMA 4Dで動物をモデリングする方法として思いつくやり方には、一般的なポリゴンモデリング、最近のバージョンになって追加された機能のスカルプト、最新のバージョンで追加されたポリゴンペンの使用、などがあります。
ですので、ここでは、一般的なポリゴンモデリングで動物(のようなもの)をモデリングしてみようと思います。ポリゴンモデリングでも、面を増やしながら作るやり方とかもありますが、ここではごく一般的に、立体を加工しながら作っていく手順にしてみます。
一般的なポリゴンモデリングの場合、サブディビジョンサーフェイスの子としてポリゴンモデリングを行い、対称オブジェクトとしてモデリングしていくやり方が考えられます。
サブディビジョンサーフェイスというのは、カクカクしたポリゴンモデルを滑らかな形に変換する機能で、これを使えば、モデリングはカクカクした分かりやすい状態で行いつつ、仕上がりは滑らかにする事ができます。
例えば、CINEMA 4Dで、サブディビジョンサーフェイスの機能を用いて簡単なモデルを作っている作業画面が下の画像です。

それぞれの点の場所を動かしたり、また、線を増やしたりしながら作業しますが、実際に完成して行くモデルは、内側にある滑らかなモデルになります。
サブディビジョンサーフェイスを使うと、このように、比較的少ない点や線を調節するだけで、動物など曲面で構成されたモデルが比較的簡単に作れます。こういった機能は、だいたいの3DCGソフトには備わっていて、例えば人体などを作るのに多用されています(ですので、他のソフト用の参考書でも、多くの場合は応用する事ができます)。
このモデルの構成要素が表されているのが、下の画面になります。

この中で実際にモデリング作業に使っているのが”立方体”(作り始めた時のオブジェクト名が”立方体”だったのでそのままの名前になっていますが、ここは変える事もできます)というポリゴンオブジェクトの部分で、そのポリゴンオブジェクトで半分だけの形を作り、それを”対称”によって左右対称のオブジェクトにし、さらに、”サブディビジョンサーフェイス”で滑らかなモデルにしています。
これを見ると、”立方体”は”対称”の下、つまり、親子構造みたいな仕組みになっている事が分かります。また、”サブディビジョンサーフェイス”が、それらの上に来ています。つまり、下にあるものは上にあるものの影響を受けるという事です。この階層構造のような考え方は、CINEMA 4Dでは良く使います。
操作では、カメラ操作のショートカット(他にも色々ショートカットがあるらしい)、編集可能にする、Isoline編集の切り替え、選択ツールで可視エレメントのみ選択を外すかどうか、対称機能のオンオフ、ぐらいが重要になってきます。
また、ツールでは、選択ツール、ナイフ、押し出しなどを良く使います。これらの機能は、次に実際のモデルを作る段階で、同時に説明していく事にします。
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あと、レンダリング設定のアンチエイリアスの項目が大変重要です。
デフォルト(最初に開いた時)の設定ではジオメトリになっているので低品質です。
これはモデリングの段階ではあまり関係ないですが、最終的な画像を作成する時に関わってきます。
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■実際の作業
では、ここからは実際の作業について説明していきたいと思います。作業の流れとしては、立方体を用意して分割し、編集可能にした後、半分を削除して対称的にモデリングしていきます。CINEMA 4Dは長い歴史をかけて成長してきたソフトで、その機能は膨大になっていますので、ここでは作業の一例として、必要最少限の機能を選んで使いながら説明していきます。ですので、場合によっては、もっと良い手法があったり、もっと早くできる操作があったりするかもしれませんのでご了承下さい。
まず、新しいファイルを作成し、画面上部に並んでいるアイコンから”立方体”をクリックすると、立方体オブジェクトが画面中央に出ます。メニューの”作成>オブジェクト”の中にも、同じ項目があります。
(ちなみに、このアイコンの右下に表示されている小さい三角は、このアイコンにはさらに選択肢があります、という意味です。例えば、この立方体アイコンをクリックしたまま(長押し)にすると、さらにいろいろなオブジェクトを選ぶ画面が出てきます。こういった、右下に三角がついているアイコンは、後の操作でも出てきます。また、こういったアイコンで表されている機能は、メニューなど別の所からも選べる事が多いです。)
この立方体オブジェクトを加工して、動物の形状にしていくわけです。この画面の状態は、作業画面の右上の場所(オブジェクトマネージャ)で確認できます。

今自分が作っている画像にはどのような要素があるか、というのはここに全部表示されていきますので、常にチェックしながら作業を進める重要な場所です。
”立方体”という表記がされていますので、そこをタブルクリックして名前を書き変えても良いでしょう。今回は、”動物”という名前に変えてみました。表記の所をダブルクリックすると文字が入力できるので、そこに文字を入力してからリターンキーで確定します。

なお、作業中のファイルはこまめに保存した方が良いかもしれません。
また、全体的な作業画面の色は、メニューの編集>一般設定>インターフェイス、の所にある、”スキーム”から、ライト(明るい灰色)かダーク(暗い灰色)を選べます。
次に、この立方体を分割しますが、画面の表示設定を変え、オブジェクトに含まれる線が表示されて見える設定にします。
左上の”ビュー カメラ 表示 …”と並んでいるメニューの”表示”をクリックすると、様々な表示形式が選べますので、グーローシェーディング(線)を選びます。

すると、オブジェクトの表面にある線が見えるようになり、この後の作業で追加する線も見えるようになります。

(立方体の各辺が、黒い線で表示されるようになったのが分かると思います。ちなみに、グーローというのは、この表現方法を開発した人の名前です)
では、右上の画面で”動物”をクリックする(作業画面内のオブジェクトを直接クリックしても選択できます)と、文字は白く表示され、また、作業画面内のオブジェクトには黄色い縁取りがつき、選択されている事を表しています。すでに選択状態になっていれば、この手順は省略して構いません。
(なお、選択を解除するには、右上の画面(オブジェクトマネージャ)で、何も書かれていない空白の部分をクリックしたり、あるいは、作業画面内でクリックしたりすると、選択は解除されます)
何かを選択すると、右下には選択されたものの情報が出てきます。この場所は”属性マネージャ”と呼ばれ、選択されたオブジェクトなどの様々な情報が表され、その数値や設定を変更したりできます。今は”立方体オブジェクト[動物]”というタイトルになっていると思います。名前は”動物”に変えても実体は立方体ですので、一辺の長さや分割数などが表されています。

ここで使うのが”分割数”です。それぞれの右端にある上向きの小さい三角をクリック、あるいは、直接数字を入力して(半角数字で)分割数を増やす事ができます(下向きの三角をクリックすると数値が減ります)。そこで、X方向、Y方向、Z方向、それぞれの分割数を、とりあえず4に増やします。

すると、このように、立方体の各面を4分割する線が入った状態に変わると思います(細かな表示は、選択しているツールなどでも変わってきます)。このように変化した事で、この立方体には線と点(後の作業で分かりますが、線と線が交わった所には”動かせる点”が存在しています)が追加されましたので、この後で点を動かしたりして変形が可能になっていく訳です。
では、このオブジェクトが選択されているのを確認してから(オブジェクトが黄色い線で囲まれていれば、それが選択されているという意味です)、作業画面左上にある、”編集可能にする”というアイコンを押します。
これを押すと、立方体(大きさや分割数などしか変えられない)から、ポリゴンオブジェクト(点や辺などをいろいろと調節できる)に変換されます。形は変わりませんが、取り扱い方が変わるような感じです(アイコンの絵を見ても何となく想像できるかもしれません)。変換後には属性の表示なども少し変わり、”ポリゴンオブジェクト”という名称になったのが分かると思います。名前の欄が”動物”になっていますが、ここを直接書き変えて、オブジェクトの名前を変えたりもできます。

では、カメラ操作について説明していきます。作業画面右上の方にある小さいマークをクリックしたままでマウスを動かすと(つまりドラッグする状態)、それぞれ、視点が上下左右、ズームインアウト、回転、の機能が使えます。(マークの形で機能が想像できると思います)
回転は、左右だけではなく、上下(上回転や下回転)にも操作できる、という点に留意しておいて下さい。
また、このカメラ操作は、マウスのスクロールホイールでズームインアウト、数字キー1を押しながらドラッグだと上下左右、数字キー2を押しながらドラッグだとズームインアウト、数字キー3を押しながら(あるいはaltキーかoptionキーでも可能かもしれません)ドラッグだと回転、ができます。
右上の小さいマークを押しながらカメラを動かすよりは、数字キーなどを押しながらマウスを動かす方が楽かもしれません。
では次に、このオブジェクトを正面から見て、左半分を削除します。右上の小さいマークをクリックすると、画面が四分割され、各方面(透視、右面、上面、前面)から見た図が表示されるので、前面、にある右上の小さいマークをもう一度クリックすると、画面が前面図だけになります。

この図でも、カメラの上下左右とかズーム、回転などができます。前面図での回転は使わない方が良いかもしれませんが、上下左右やズームで、前面図の中でちょうどいい位置に調節しても良いです。
では次に、”ポイントモード”に切り替えて作業を進めます。ポイントモードは左端のアイコンの所にあり、オブジェクトの点を動かしたり調節したりする時のモードです。アイコンをクリックして、下図の様に、白い状態にしておきます。
この状態で、ポリゴンオブジェクトが選択されていない場合は右側から選択すると、下のように、オブジェクトに含まれる点が表示されます。

これは正面から見た状態という事ですので、この左半分を削除します。削除は、まず、削除したい点を選んでから、deleteキーを押しますが、選択には、長方形選択を使います。左上の選択ツールの部分を長押しすると、長方形選択が選べます(投げ縄選択でも良いですが)。

すると、長方形選択のアイコンに変わりますが、この時に、右下の属性ウインドウを見ると、このツールの設定が出ています。(これを再度出したい時は、長方形選択のアイコンをクリックします)

ここで大変重要な設定が、この中にある”可視エレメントのみ選択”という項目です。最初はこれにチェックが入っていますが、このままだと、前から見えている物だけを選択、という意味になり、例えば正面から見て点が重なっている場合には、一番前の点しか選択されていない、みたいになります。ですので作業に合わせて、この項目のチェックは外す必要があります。今回は前面から見て左半分の点を全部選択して削除したいので、この項目のチェックは(チェックの印をクリックして)外します。
そして、左半分の点を長方形選択で選択して、

(ドラッグしてできる長方形の中に、削除したい点が入るようにします)
選択された点は黄色く表示されますので(手前から奥まで、選択範囲内の全ての点が選択されている状態です)、

(参考)

(※今は別方向から見る必要はないですが、例えば別方向から見たとしたら、今の段階では、点がこのような感じで選択されています。)
deleteキーで消去します(編集→消去、でもできます)
左半分の点を消去するとこのようになります。

この前面図の右上角にあるマークをまたクリックすると、
画面がまた四分割の状態に戻りますので、そこで左上の画面(透視)に付属する
同じマークをクリックすると、最初の作業画面の状態に戻ります。

立方体の半分が削除された感じになっていると思います。つまり、立方体に含まれる点を消したので、その点で構成されていた面や線なども消えて、このような状態になったわけです。
では、点を削除する作業が終わりましたので、とりあえず、ポイントモードからモデルモードに変えます。モデルモードのアイコンは、左端の上の方にあります。
これで、モデル全体の位置とかを変える時に使うモードになりました。
ここで右の画面(オブジェクトマネージャ)からオブジェクトを選択(あるいは作業画面でオブジェクトを直接クリック)すると、軸が表示されると思います。この軸で、オブジェクトを動かす事ができます。
今回は、オブジェクトが下に半分埋まっています(半分は高さが0より下の所にあります)ので、少し上に上げてやります。上げる場合は、まず緑の矢印(Y軸方向)の先の方にカーソルを持っていき、緑の軸の色が白く変わってから、そのまま上にドラッグすると、その方向(緑の場合は上下方向)だけに移動できます。上げる高さは適当で良いです。
この時、他の方向の軸が白くなっていると、そちらの方向に動かしてしまう事になり、この先の作業がおかしくなります(例えば、モデルを右半分だけで作りたいのに、左まで入り込んだりして)ので、どこが白くなっているかは十分注意してから動かして下さい。(取り消しボタン(左上の、左に曲がっている矢印みたいなアイコン)などもありますので、失敗したらやり直せば良いですが。
また、例えば左上の取り消しボタンの上にカーソルを持っていくと、そのボタンに割り当てられたショートカット表示も出ます。この表示は、一般設定のインターフェイスにあるバブルヘルプ表示でオンオフできます)
カメラを回して左側の方から見ると、このように半分からスパッと切れたようになっています。中身は空の空間だということも分かると思います。

では次に、これを対称形にしていきます。まず、上のアイコンの中で”配列”を長押しすると”対称”がありますので、それを選びます。

すると、右側の画面(オブジェクトマネージャ)に”対称”オブジェクトが現れます。

次に、その画面の”動物”オブジェクトを、”対称”の上にドラッグすると、(ドラッグしていると、カーソルの近くに以下のような表記が出ますので、そこでドラッグを終了します。)

”対称”の下に”動物”が所属したような表示になります。”対称”が親、”動物”が子になった、みたいな表現を使う事もあります。
ここまでの手順が成功すると、作業画面のオブジェクトにも、対称の状態が表現されます。

半分は実体がありますが、もう半分は鏡に映ったような状態です。モデリングのイメージとしては、正面から見て右半分だけを作っていくようなイメージです。
ちなみに、この”対称”の右側にある緑色のチェックマークの所をクリックする事で、”対称”の機能をオンオフすることができます。

では次に、このオブジェクトを変形させ、動物の形にしていきたいと思います。(つづく)