週末を待って | お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

私の母親が突然「がん」と診断された。「がん」と闘い、一生懸命に生きた母と後悔ばかりの子の闘病生活を綴る。そして、2018年ついに私自身にも「がん」との診断が…。

昨日は結構遅くまで仕事をしていたせいで、寝るのも午前三時過ぎになってしまった。ガラケーのアラームを解除し忘れていたので、週末モードで 9:00 にアラームが鳴った。腕を伸ばしてガラケーの側面を手探りでアラームを切るためのスイッチを捜す。飛び出ている突起を見つけ、カチリとボタンを押すとアラーム音としてセットしておいた『TO MAKE THE END OF BATTLE』が止まった。

 

仕事という戦いに終止符を打てたのだろうか…。ゆっくりと上半身を起こす。ジンワリと汗が滲んでくる。流石に 9:00 を過ぎれば気温だってかなり上がって来る。今はまだ夏だ。こんな気候が 10 月頃まで続くなんて、辛すぎるなぁ…などと思いながら重い腰を上げる。

 

普段着に着替え、台所に降りて、いつものトーストを焼いて食べる。窓を全開にしてもこの蒸し暑さだ。スカッと湿気なく晴れているのとは違い、このベチョッとした湿気を含む風で気分が悪くなってきそうだった。

 

今日は予定はない。先週の夏季休暇の余韻のせいで、平日労働の疲れが取れない。オッサンになって間もなくこんな感じだったから、今では慣れもしたが、それでも気怠い体を引きずって居間へ移動する。

 

畳んである新聞と折込チラシを見る。チラシにはおいしそうな夏の果物や、赤々とした肉がカラー印刷で美味しそうに紙面を飾っている。コップのカルピスウォーターをゴクリと飲み込む。コップの表面に結露した水滴が、ポタリと広告の上に落ちた。

 

ジジジジジッと虫の声、蝉の声も聞こえる。これぞ夏なのだが、疲れた体には少し酷だ。余裕のある心境であるのなら「夏の風物詩」として容認できるのだが、今は疲れの方が上回っており「不快」としか感じられなかった。

 

先ほど書いた通り、今日は予定はないから、自室へ戻って PC の電源を入れた。またコップからゴクリと飲み物を飲み込んだ。

 

平日は本当に、早く休みが来ないか、早く週末よ来い! と切望していた週末なのだが、イマイチ何もやる気がわかなかった。

 

PC でサイトを巡回しつつ、傍らの TV の電源を入れ、平日にとりだめておいた TV 番組を見る。ほとんど流し見のような状態だ。

 

PC でゲームを起動してみた。何だかつまらない…。すぐに飽きて止めてしまった。何だろうこの楽しく無さは…。体調が悪いと確かに何をやっても楽しくないのだが、今は体調というより疲れ、それもこの暑さの影響も加わった疲労が原因で、まるで病気の時のように何をやっても楽しくないような気さえする。

 

予定がなくて却って良かったのかもしれない。車で出歩く気もないし、避暑のために図書館やホームセンターやスーパーめぐりをする気分でもない。まぁ、今日は土曜日なので夜は夕飯を食べに出かける予定なのだが。

 

PC の画面に浮かんでは消えてゆくウィンドウと文字と画像を単に眺めているだけだった。傍らでは、録画した番組から、いつも聞いている声が聞こえて来ていた。ふぅ…と溜息。

 

まだ暑いな…。また台所へ降りて、冷蔵庫から冷たいお茶のペットボトルを取り出す。コポコポコポッと音を立てながら、コップを満たしていくお茶。ペットボトルを冷蔵庫に戻し、冷たく冷えたお茶をゴクリと喉の奥に流し込む。また、ふぅ…と溜息。

 

さあ、これから何をしようか…。まだ日はそらの天辺付近に鎮座している。結露したコップを持ち、また自室へ戻って行った。