雪のように | お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

私の母親が突然「がん」と診断された。「がん」と闘い、一生懸命に生きた母と後悔ばかりの子の闘病生活を綴る。そして、2018年ついに私自身にも「がん」との診断が…。

今日の出張。お客様環境で対応している中、色々とトラブルがあり、お昼ご飯を食べる暇もなかった。最近胃の調子も悪いので、食べるならサンドイッチと野菜ジュースくらいなのだが今日はそれも食べられない。とは言え、サンドイッチも2つ入りの片方1つ食べればお腹もいっぱいになってしまうのだが。

 

現地作業中、地元にいる同僚からひっきりなしに Teams メッセージがメンション付きで飛んでくる。あれを見てくれ、これを確認してくれ、コメントを求む…と、ポップアップが表示される度にゲッソリする。申し訳ないが現地対応で忙しく、反応している暇はない。悪いがそっと「×」ボタンを押す。

 

19:00 過ぎ、やっと帰ることができそうだ。帰りの新幹線の時刻を乗換案内で調べる。地元の駅に着くのは21:00過ぎだ。

 

帰りの電車は確認できたので、現地で「お先です!」と挨拶をしてそそくさと引き上げる。駅まで早足で移動。丁度到着した電車に乗る。まぁ、東京は5分おきくらいで電車が来るので次に乗っても良いのだが…。地元の静岡なんぞ1本乗り逃がせば20~40分待ちだよ。

 

さて、いつも事故っている中央線も問題なく動いており、東京へは予想より早めに着いた。東京駅構内も早足で移動する。

 

ラッキーなことに、ちょうど 3 分後に出発する「こだま」があった。こんなこともあろうかと、今日は指定席予約はせず、自由席をEX-IC カードで事前購入している。

 

出発直前に、1 号車へたどり着いた。へとへとだし、息が上がっている。はぁ~、こりゃ運動不足だな。

 

いつもの 3 人掛け最後尾はすでに座っている人がいるので、3 人掛けの先頭窓側へ座る。座って間もなく、列車が走り出した。私はおもむろにデイバッグからゼリー飲料とカロリーメイトを取り出し、パクついた。

 
いつも通り品川、新横浜でドッと人が増える。やはり昨日 3H 程度の睡眠では、瞼が重くて仕方がない。気が付くといつの間にか揺れが気持ちよくて寝てしまっていた。
 
「次は三島、降り口は右側…」という車内アナウンスが流れる。あぁ、もうすぐ地元だ。三島で列車通過待ちで5分ほど止まった後、また電車が走り始める。そろそろか…と、Walkman の電源を落とし窓の向こうの暗闇に星のように流れ去る夜景をぼんやりと見ていた。
 
あっという間に地元の駅に着いた。嫌な予感が的中。外は小雨が降っている。雨の中の移動ほど嫌なものはない。
 
帰りはご近所のドラッグストアに寄って帰ってきた。22:00 の閉店間際で、店内は「蛍の光」が流れていた。
 
やっと家に着く。ふと玄関脇に小さな白い花が沢山咲いているのが綺麗に見えた。夜の薄暗い中、一部は雨で花が散ってしまっているが、枝に残った小さな白い花は雨露も相まって光っており、春になると咲くこの小さな花は綺麗だと思っていた。
 
前にもこのブログ日記で触れたが、うちのおふくろは若いころ花屋に勤めていた。なので植物が大好きだ。私は好きでも嫌いでもないが、おふくろが他界してから手入れをしない草木が伸び放題で結構参っている。手が掛かるのはなぁ…。
 
そして、玄関脇に春になると小さな沢山の花が咲くこの植物の名前を私は知らなかった。とりあえずデジカメの簡易モードで写真を撮り、google 先生に聞いてみると「雪柳」という名であることが分かった。

 

 

Wikipedia によると“和名の由来は、ヤナギのようにしだれる枝に白い小さな花が咲き乱れる様子を雪に見立てて「雪柳」の名がついたとされる”そうだ。

 

春になると、この小さな白い花が心を癒してくれる。大きく存在を主張するわけでもなく、ただそこにあるように咲く小さな花の群れ、それは確かに雪が積もっているようにも見える。雪のように白く、その花は今年も咲いた。