本筋とは違うかも知れないけれど | お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

お日様母さん ― 晴れのち曇りそして雨 ― がんとの闘い

私の母親が突然「がん」と診断された。「がん」と闘い、一生懸命に生きた母と後悔ばかりの子の闘病生活を綴る。そして、2018年ついに私自身にも「がん」との診断が…。

“足るを知る”という言葉がある。老子の言葉であると言われていますが、私がこの言葉を知ったのは『マンガ 老荘の思想』を読んだ時でした。

 

 

そもそも、私は道徳とか思想とかまったく興味はなかったので、“きちんとした”思想本を読むことは考えていませんでした。では、何故マンガとは言え“老荘の思想”など読んだのかと言うと、きっかけは某有名なアニメの劇場版のセリフに興味を持ったからなのです。

 

最近リメークされ、地上波でも放送されている『うる星やつら』。私は旧TV版をタイムリーに見ていた世代です。SFスラップスティック、ラブコメが大変面白く、当時毎話欠かさず放送を見ていました。

 

『うる星』は高橋留美子のマンガが原作ですが、TVアニメも人気が出たことで、劇場版(映画作品)も作られました。私が好きな作品は『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』という作品で、アニメ界隈ではよく名前の挙がる押井監督作品です。

 

 

映画の終盤で、主人公のあたるに事の元凶である人物が語り掛けます。

 

「蝶になった夢を見た男が目を覚まして、果たして、どっちの自分がホンマやら、もしかしてホンマの自分は蝶が見てる夢の中におるんちゃうやろか…」

 

このセリフにある話は、有名な「胡蝶の夢」という荘子による説話です。

 

 

それが老荘に興味をもったきっかけでしたが、流石に難しい専門書や思想書を読むのは無理なので、選択したのが先の「マンガ版」だったというわけです。…まぁ、マンガなのですが、マンガの割に字がびっしりと書かれていますよ。(笑)

 

さて、私もオッサンになり、人生も“たそがれ”に差し掛かっています。若い頃は何をするにもお金が必要なので、頑張って働いて(当時から貧乏だったので)“普通の”生活が送れれば嬉しいと、結構身を削って働いたものです。

 

しかし、働き盛りの年齢で胃がんに罹患して、本当に病気や事故で人生なんてあっという間に終わるのかもしれない、…そういう状況を実際に体感しました。それでも生活はガラッと変えることはできませんでしたが、「身を粉にして」なんて考えは、今ではまったくありません。それこそ、足るを知らなければならないのだと思っています。

 

丁度昨今“足るを知る”という言葉をふと思い出し、ネットでざっくりググってみたところ、宗教的な考え方と共に紹介している下記のようなサイトを見つけました。

 

 

私はそもそも「あの世」とか「神様」を信じていないので、「宗教」も「思想」の面でしか見ていません。(それでも真面目に墓参りや法事をするのはあくまで故人への敬意に他なりません)

 

それでも、大昔の思想家や、宗教家が、色々考えて現世にも伝えられている考え方や思想は、この歳になっても、またこれからも迷い続けるであろう自分にとって、何らかの参考になるかも知れないと思っています。

 

考え方に賛同できなくても、参考にならなかったとしても、同じ命題について様々な考え方を知ることは、決して無駄なことではありませんし、いや無駄なことでもその無駄が人生に大切なものだと“私は”思うのです。(コスパとかタイパとは対極にある考えかも知れませんが)