夕飯で食べる冷凍食品を深皿に移し、ちょっとお高かったがセールで購入した旭化成のサランラップ封をし、レンジに入れピピピッと回答時間を5分に設定してスタートボタンを押す。
グゥゥゥゥゥゥンッと音を立てながら、庫内の皿がクルクル回る。スポットライトが当たっているように深皿がクルリクルリと回転する。
そんな光景をボーッと眺めながら、そうか旭化成…うちの地元にも工場があったな…などと考えていた。
高校時代、よくつるんでいた友人が4名。そのうちの一人が旭化成へ就職した。研究所の仕事をしていると言っていたか…。そういえば、高校時代から化学(ばけがく)が得意だったと記憶している。
彼とは年賀状をよく出し合っている。年賀はがきに映る家族の写真はとても幸せそうだ。
電子レンジの出来上がりのアラームが鳴った。ちょっと固めの扉を開けて熱々の深皿を取り出した。後は、お湯が沸いたら今日は急須で普通のお茶を飲もう。ペットボトルのお茶も美味しいけれど、お茶っ葉から淹れた温かいお茶も美味しい。
コタツに戻って来た途端、ピィーピィーとコンロの上でケトルが叫んでいる。急いで台所へ戻りコンロの火を止める。本当は沸騰したお湯はダメなんだけどね…、そう心で呟きながら急須にお湯を注ぐ。真っ白い湯気が顔に掛かるが、あっという間に温かさはなくなる。今日も引き続き寒い。
急須といつものマグカップを持って居間のコタツへ移動する。ほんの少し席を立っただけなのに、今まで湯気の出ていた深皿からはいつの間にか湯気が消えていて、何だか温かさやおいしさまでどこかへ行ってしまったように感じてしまう。
TVをながら見(ながら聞き)しながら、夕飯を食べる。うちの兄弟は今日も20:00過ぎに帰って来るのではないだろうか。家にポツンと一人でいるのは何だか落ち着かない。
男兄弟なので、兄弟同士はあまりしゃべることもないが、それぞれ家の中で何かやっているという存在感はある。
夕飯を食べ終わり、あと片付け。深皿は水に冷やかして、ゴミは捨てる。お茶の残りはコタツに入りながら少し食休みをしつつ飲む。何だが益々オッサンの生活だ。
TV を消して、2F の自室へ戻る。たまにはゲームでもやろうかな。PC の電源を入れ、ログイン画面で何も考えずボーっとしていた。傍らでストーブが赤い炎をチラチラ揺らしながら、無言で暖かな風を送ってきていた。こんな狭い部屋でも、暖かい空気と冷たい空気が循環し、そよそよという訳ではないが風を作っていた。
窓の外は何だかとても静かだ。遠くで救急車のサイレンの音が聞こえる。サイレンの音が遠くへ去ると、また冷たい静寂が窓の外に腰を下ろす。