ポストが無くて哲学が生まれる | 坂本龍~今夜は泡風呂ぐ~

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とある郵便物を出したかった。
でもポストが近くに無いので
コンビニに寄った。
しかしポストが見当たらなかったので
店員さんに聞いた。
『あ、このコンビニって
ポストありますか?』

すると店員さんは
あちらに、という一言を添えて
手で分かりやすく指し示してくれた。

なるほど、あそこかと
コーヒーマシンあたりのほうに
いくけれど、全く見当たらない。


たしかにあの店員さんは、
コーヒーマシンあたりを指し示した。
この辺であってるはずだ。


一応念のため、確実にあの店員さんが
指し示していない範囲まで見た。
イートインスペースあたり、
タウンワークが置いてあるところ。

こんな所は、確実に指していない。
だとしたら、あの店員さんの
手のヒットポイントゾーンが広すぎる。

そんな訳がない。


あまりに違う箇所を
キョロキョロと見てると
きっと店員さんに
いや違うって!って思われるだろう。
それがすごく嫌だ。

あの店員さんの中で
ポストをすぐに見つけられない男
に成り下がるのが嫌だ。

①ポストをすぐに見つけられる男
②ポストが分からず聞く男
③ポストを聞いても分からない男


②ですら嫌なのに、
③に降格しようとしている。


さらに待ち構えている


④分からなすぎて大声で泣く


というフェーズは、
なんとしてでも阻止せなばならない。



だから余計な部分は見ずに、
早く見つけたい。

しかしポストがない。


タウンワークはある。
ポストだけがない。


競馬新聞はある。
ポスティーが、ないんだよ。



しかしもう一度聞くのは絶対に嫌だ。
『2回聞いてくる奴』になりたくない。


店員さんもきっと、舌打ちするだろう。
心の中では確実にする。
舌打ちインユアハートは確定。


それは嫌だ。
この短期間で嫌な事が多すぎる。
早くこの場を去りたい。



ひょっとするとあれか、
店外を指し示していたのか?
だってそうだ、コーヒーマシンの
向こうはガラス、言わば外だ。

あの店員さんの手の先には、
広大な世界が広がっている。


店外にあるのかもしれない。



そう思い、俺は店内を捨てて
店を出るも、何もない。


虚無が広がっている。

なるほど。


この世界そのものが
ポストということか...?


アレか、哲学か。
あの店員さんは、全くの初対面の
俺に、そんな狂った哲学を
押し付けようとしてきたのか?


いや落ち着け。
そんな事はない。

いやしかし

赤い物体すらない。
もはや赤い物体さえあれば、
そこに郵便物を突っ込んでやろうという
気持ちでいたのに。


それ、ポストじゃないですよ
と例え誰かに言われようとも
貴方は僕のさっきまでの数分間の
出来事を加味してもそれを言えますか?

と、狂言じみた言葉で跳ね返す。






ポストがないんだ。





PS.


カッコいいアー写撮れました。
三白眼(さんぱくがん)という
言葉を覚えてから、

結構意識しているのですが、
撮ったアー写を見返すと
俺は結構三白眼気味なのかもしれない。


というか何枚か完全になってる。
へぇ。