小学生とアップルパイ | 坂本龍~今夜は泡風呂ぐ~

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僕が小学5年〜6年の頃、
マクドナルドで売っている
アップルパイが、気になって
仕方がない時期があった。



見た目のキャッチーさと
味の想像のつかなさに、
魅了されたのである。



アレはなんだ、
果物が温かいのってどうなんだ?
果物って冷たくてなんぼじゃない?
いやでも、もしかしたら
パイとありえない化学反応を
起こしているのかもしれない、
そうだよ、きっとそれが人気の
理由なんだ、、、




興味は深まる一方。



しかしながら、問題点がある。
僕は子供の頃
甘いものがそこまで好きではなかった。


『じゃあやめとけ』で
終わりなのだが、
子供の興味心や探究心は
ちょっとやそっとでは治らない。



僕は意を決し、友達を誘って
マクドナルドに行った。



その友達T君は、
マクドナルドの
アップルパイを何度も食べていて
もはや好物らしい。
アップルパイ玄人である。


なので僕が初めてアップルパイを
食べるという、運動会にも
勝るとも劣らないイベントに
積極的に付き合ってくれた。




マクドナルドにつき、
T君と僕は一つずつ
アップルパイを注文した。


固唾を呑む僕を横目に、
フライング気味にT君が
食べ始めたのを覚えている。



早っ!
さすが玄人...



よし。
食べるぞ!!










熱ッ!
マズッ!!







やはり甘いものが苦手な僕には
無理だった。
そして案の定果物が温かい事に対し
脳が処理をし切れず、一瞬バグった。
極めつけにはシナモンの独特な
香りとフレーバー。
お手上げ、惨敗である。



反応を伺うT君。

どう?うまいっしょ?

的な顔をやめてくれ。



僕はアップルパイ玄人を前に、
マズイなんて到底言えず
『うん、うまい!これは今完食すると
勿体無いから半分残して家で食べるわ!』


と言った。
苦しすぎる。



言い訳としては15点だ。


あんな小さい食べ物、
普通美味しかったら絶対に
その場で全部食べる。


未来の自分に託すな。



やはりその苦しすぎる良い訳に
T君は少し戸惑い気味だった。



T君ごめんよ。
僕はアップルパイに惨敗したんだ。





家に帰り、残りの半分は
母親に食べてもらった。



アレから10年以上経つ。
あの頃よりは甘いものが
食べられるようになった。


僕がもしまたアップルパイを
食べるときはT君を
誘うと決めている。




連絡先知らんけど。