Marshall 1969年製 JMP 1959 Super Lead 100 Plexi | HOWL GUITARS

Marshall 1969年製 JMP 1959 Super Lead 100 Plexi

ナマステー

HOWL GUITARSのhiroggyです。

前年のブログに続きイントロ文で、インド一人旅の中で起きた事などを面白おかしく文章に表してみようと思います。旅の供に持って行った小説が村上春樹氏の小説だったので、ちょっとハルキノベル風旅行記にトライしています(笑)

最初の滞在地、ゴアでのアレコレ。

楽器説明文と写真だけ見たい人はサーとスクロールダウンしちゃって下さいヾ( ´ー`)


インド旅行記 (8) ゴア編 「TICKET TO HAMPI」

ポールさんと別れ、さっそく旅行代理店の扉を開けて中に入る。中年太りが過ぎたカウンター内の女性にハンピ村までのバスチケットの値段を聞くと、しばらく計算機を弾いてから 1500ルピーと言われた。1500ルピーということは円換算すると3000円ちょっとだ。僕はそのチケット料金が果たして高いのか通常なのかも知らないので暫し考えていた。しかし一瞬、彼女の気力のない眼の下、重力に負けて垂れた頬の肉が少しリフトアップしたのを見た。

「ねえ、悪いけどこんなに高いとは思えないな。深夜バスでしょう、もっと安くならないかな?」
そうだ、ポールさんとの心意気良いギターフレンドリートークの後だったから僕の警戒心の度合いは "カフェで平然と財布や携帯電話をテーブルの上に置いてしまう人間" レベルに低くなっていたのだ。
案の定、しばらくカウンター越しに彼女の眼をみながらねばってみると安くなった。それでも1300ルピーだ。他を当たるよ、と言い残してその店を出ようとすると
「ここらへんで他に売ってるとこなんて、ないんだかんねっ!」 と怒声が飛んできた。
僕はもちろん彼女を無視して店を出た。

パナジのバスターミナルは想像していたものよりも大きい。何十台ものバスが出たり入ったり、バススタンド中央分離帯には花屋、雑貨屋、八百屋、などの多くの小さな商店が犇めいている。僕は通行人や停車中のバスの運転手とかに "オフィシャルのバスチケット売り場" を繰り返し聞いて、ようやくバススタンドに併設されている建物の中にそれを見つけた。ここまでの所用した時間、20分。チケット売り場までに結構時間がかかってしまう。
チケットカウンターは想像通り、混雑。順番が巡ってきて、カウンターにつく。しかしここからがまた面倒だった。カウンターで対応している職員のにーちゃんは英語が喋れないようで、僕は呪文のように
「ハンピ。ナイトバス。チケット。トゥナイト。ハンピ。ナイトバス。チケット。フォートゥナイト!」
の簡単な単語のみを連呼して、片道チケットを買う。ちなみに正規価格は672ルピーだった。よっしゃー!旅行代理店の半額。さてさてチケット代金を払うが、お釣りがないから出直してこいみたいな流れにいつの間にかなっていた。おいおいそれはないだろ、たのむよ。と押し問答していると横から普通に人が割り込んできて、どんどん後まわしにされていく。やれやれ、こんなところで負けてたらとっくに代理店に行っている。僕は現地の作法に習って割り込んできた人に割り込み返しした。まるで小学生の時に遊んだ、おしくらまんじゅう押されて泣くな、だ。公共の場で大人がチケット買うためにするもんじゃあない。でも、ここはインド。大人が平然とそれをする。職員のにーちゃんはようやく重い腰を上げて自分のポケットからお釣りを出してくれた。そして彼は当然のようにバスチケットを放り投げよこした。ネヴァー・マインド・ザ・ボロックス。

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それでは本題の楽器紹介へ移ります。

今回ご紹介するレジェンドアンプは

Marshall 1969年製 JMP 1959 Super Lead 100 Plexi [Hendrix Gear]



Marshall 1969年製 1959 Super Lead 100 Plexi [Laydown]が入荷致しました。

Jimi Hendrixが使用したことで、あまりにも有名なMarshall JMP 1959 Super Lead 100と同じヴァージョンの一台。

 

(この2枚の画像はJimi Hendrixの個体で69年3月製造 シリアルナンバー SLA10590。USA輸出仕様なのでポラリティスイッチが付いており、電源ケーブルもBulginタイプではない)

JTM45/100、JTM100、など多くのMarshall 100Wモデルを使ったJimi Hendrixですが、一番有名なのはやはりウッドストックやワイト島フェスティヴァルで使用した上記の写真の69年のJMP 1959 Super Lead 100でしょう。

Marshall Plexi 100Wシリーズのヴァージョンは65年~69年に渡り述べ10ヴァージョンに及び、69年中頃のプレキシパネル廃止と共に終了します。

100Wシリーズの始まりはThe Whoのピート・タウンゼンドの「もっと大きい音がするアンプが欲しい」との要望により'65年にVer1のプロトタイプを製造。最初のプロトタイプには6L6パワー管とGZ34整流管が用いられていましたが、改善を加える過程でKT66パワー管に変更したりGZ34整流管を使用しないでダイオード整流に変わっていきます。

主な変更点で挙げるとすると、Ver4A時点でそれまで使用していたKT66パワー管がEL34に変わります。その後Ver4BでSuper100 Amplifierが終わりそれに変わって、いまではお馴染みのSuper Leadになります。この変更と同じくしてホワイトバックパネルからゴールドプレキシグラスバックパネルになります。

67年後半にはVer5CとしてJTMのロゴがJMPに変更になります。それに加えUSA輸出仕様にはポラリティスイッチがフロントパネルに配置されます。

そしてVer8のSuper Leadが本個体と同じヴァージョンで、68年後半~69年前期までの短い期間の仕様。
大きな特徴は、新しいシャーシレイアウトです。それまで電源トランスと出力トランスは隣り合って設置されていましたが、ハムノイズが発生しやすかったため二つのトランスの距離を開けその間にフィルターキャップが設置されました。また出力トランスの向きが90度回転した状態で取り付けられました。
Dagnall製の電源トランスが横置きの、通称 "レイダウン・トランス" はこの後の69年中頃に縦置きに変更されてしまいます。

この個体は貴重な最後のレイダウントランス・プレキシマーシャルで、ジミ・ヘンドリックスやジミー・ペイジが愛用したことで有名な1969年のMarshall Super Leadと同じヴァージョンです。シャーシに残っているインスペクションシートには69年3月25日の日付がついており、まさにジミヘンが愛用した一台と同じ月の製造の個体です。

それではお写真を公開します。



フロントプレキシパネルとオリジナルのホワイトスクリプトロゴです。プレキシパネルに割れや欠けもなく状態良好。



プレキシパネル左側です。UK仕様なのでポラリティスイッチは無く、モデル名のJMPがあります。インジケーターランプは丸型。



プレキシパネル右側です。ノブは交換されています。



Top viewです。オリジナルのハンドルとベンチレーションネット。



back viewです。使用感はありますが雰囲気がとても良いです。



バックのプレキシパネルとネットです。



型番SUPER LEAD 100Wのプリントです。



シリアルナンバー [SL/A 1058X] が確認できます。Jimi Hendrixのシリアルナンバー[SL/A 10590]との違いは1桁以内ですので同時期に製作されたのは間違いありません。



バックプレキシパネル右側です。電源ソケットはオリジナルのBulginタイプです。入力電圧セレクターで115V~240Vまで切り替え可能です。インピーダンスセレクターは70年代からのノッチ式に交換されています。



バックパネルを外した状態です。



シャーシを取り外したキャビネットです。



取り外したシャーシです。レイダウンパワートランス、パワートランスとアウトプットトランスの間に設置されたフィルタリングキャップなどが特徴のVer8のレイアウト。



レイダウン (横置き) されたオリジナルのDagnall製パワートランス。



オリジナルのDagnall製アウトプットトランス。



オリジナルのDagnall製チョークトランス。



シャーシ上部に貼られたインスペクションシート。薄くて見えにくいですが、[TEST]の横に25-3-69のDateが書き込まれています。1969年3月25日です。



シャーシ内部です。抵抗が数点交換されていますがそれ以外はオールオリジナルです。



シャーシ内部左側です。多くのMullard Mustard Capacitorが使用されています。



シャーシ内部右側です。レイダウンパワートランスが確認できます。



Bulginプラグ~3芯Aタイプの電源ケーブルが付属します。



同年代のキャビネットと組み合わせるとこのようなイメージです。



69年3月製造のプレキシグラスパネル、ホワイトスクリプトロゴ、レイダウントランスのSuper Lead 100というなかなか見つからない仕様。

Jimi Hendrix使用機にドンズバの貴重な一台です。

これぞMarshall Super Lead 100Wと言いたくなる素晴らしいサウンドです。

King Of Rock Amp!!! 憧れのプレキシマーシャルになります。

探されていた方はこの機会に是非!!

hiroggy
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