「改悪の危険」「改正の王道を =護憲、改憲両派が集会-憲法記念日

 憲法記念日の3日、
憲法改正に賛成、反対する市民団体がそれぞれ東京都内で集会を開いた。
 護憲派の「5・3憲法集会」には4200人(主催者発表)が参加。
ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英京都産業大教授が講演し
「憲法9条改悪のきな臭いにおいがする。大変危険な状況だ」と強調。
一方で「日本人の9条への思いは軽くない。改憲に乗らないと信じている」と話した。
 社民党の福島瑞穂党首は、
アフリカ・ソマリア沖の海賊対策の根拠となる海賊対処法案について
「ソマリア沖に範囲を限っていない。
『どこでもドア』を使って自衛隊が世界中に行くことに大きな危惧(きぐ)を持っている」
と語った。
 改憲派は「第40回新しい憲法をつくる国民大会」を開き、
500人(同)が出席。小池百合子元防衛相は
「世界貢献は中途半端、自国を守ることにも大きな疑問符が付いている」と
現行憲法を批判。
「憲法改正という王道を進む政治状況を作ることがわれわれの任務だ。
衆院選後に政治は一度大同団結すべきだ」と訴えた。
(5月3日17時57分配信 時事通信)
引用 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_date2&k=2009050300153

以前書きましたが,

日本国憲法 第99条(憲法尊重擁護の義務)
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、
 この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

小池百合子さんは衆議院議員ですから,憲法を尊重しなくてはなりません。
改憲派の集会に出席するのは自由でしょうが,
参加者には憲法を尊重し,支持していくことや守ることの大切さを説くべき立場かと思います。
以下は,HPに掲載されている自民党の基本方針にある新要綱の一部です。

平成17年11月22日
新しい憲法の制定を私たちは近い将来、自立した国民意識のもとで新しい憲法が制定されるよう、国民合意の形成に努めます。そのため、党内外の実質的論議が進展するよう努めます。


これでは,憲法擁護は無理ですな。
そういえば,結党当時から自民党はこんなことを言ってますぞ。

党の使命
昭和三十年十一月十五日
(前略)
現行憲法の自主的改正を始めとする独立体制の整備を強力に実行し、もって、国民の負託に応えんとするものである。


はじめから憲法擁護の姿勢なき自民党。
そのような人は,国会議員にはなれません。

最高法規ですら無視する団体という視点で見ると,日本国憲法 第25条も納得ですな。

 1 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
 2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

いまや国民の生存すら保障できない国家に。
派遣切り,後期高齢者医療問題,年金問題など,いわゆる弱者切捨ての自己責任論。
弱い者を守ってきたから人類は発展してきたわけで,とりわけ第2項は重要かと。

結党の1955年(昭和30年)から54年。
一貫して日本国憲法を軽視する自民党。
これ以上,社会福祉や社会保障を犠牲にはできませんな。

学校倒産最多7件…昨年、負債総額640億円

 民間信用調査会社の帝国データバンクは13日、
2006年の学校法人の年間倒産件数が過去最高の7件だったと発表した。
負債総額は640億円だった。
06年に倒産した学校法人は、専門学校が4法人、幼稚園が1法人、
短大・高校・専門学校を経営する1法人、
高校・中学・小学校・幼稚園を経営する1法人で、計7法人だった。
まとめによると、01~03年は学校法人の倒産は年1件のペースにとどまっていたが、
04年に3件、05年には5件と、増加傾向にあるという。
帝国データバンクは、
バブル期に事業の多角化や学校施設の新設・改築に
多額の借り入れを行って経営が悪化していた学校法人が、
少子化で生徒が集まらなくなったことをきっかけに経営を断念するケースが目立つとしている。
少子化が進展し、学校法人間の競争が激化することが予想され、
今後さらに倒産が増える可能性が大きいとみている。
(2007年2月14日  読売新聞)
引用 http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_07021408.cfm

在学する子どもたちはどうなるのでしょう?
別の学校へ通うことになっても,切ない気持ちになりそうですなぁ。
学校に市場原理を持ち込んだ結果の悲劇。
大人の都合で,子どもにそうした気持ちを与えたくはありません。
教育バウチャー制が導入されれば,一層深刻化することは必至ですな。

イメージ 1

地域間格差:所得格差「小泉政権下で拡大」実証 本社集計

 99~04年の全国の市区町村の納税者1人あたりの平均所得に関し、
格差の度合いを示す「ジニ係数」を年ごとに割り出したところ、
02年を境に上昇したことが3日分かった。
ジニ係数は毎日新聞が東京大大学院の神野直彦教授(財政学)の協力を得て割り出した。
平均所得の最高値と最低値の差は3.40倍から4.49倍に拡大、
小泉純一郎前政権の間に地域間格差が開いたことを示した。
神野教授は「感覚的に論じられてきたものを初めて定量的に示せた」と指摘しており、
地域間格差は4月の統一地方選の主要争点になりそうだ。

 ジニ係数は所得の不平等度を0~1の間で表す数値。
「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、
「1」は1人(1カ所)だけに所得が集中する状態となる。

 毎日新聞は、総務省が毎年まとめる「市町村税課税状況等の調(しらべ)」に基づき、
年ごとに市区町村別の総所得金額をその自治体内の納税者数で割って平均所得を確定。
これをジニ係数を求める公式に当てはめた。

 その結果、99~01年はほぼ横ばいだった数値が02年の0.070を境に上昇に転じ、
04年には0.079になった。
国内の個人所得のジニ係数が99~04年で0.007ポイント上昇というデータがあることが
「格差論争」の根拠の一つとされており、
市区町村別が2年間で0.009ポイント上昇したことは大きな数字だという。

 平均所得の上位はほとんどが大都市部。
04年には東京23特別区のうち9区が上位20自治体に入った。
これに対し、下位は軒並み高齢化の著しい町村部。
最高値と最低値はそれぞれ、99年は東京都港区の751万円、秋田県東成瀬村の221万円で、
04年が港区の947万円、北海道上砂川町の211万円だった。

 神野教授とともに作業にあたった慶応大大学院経済学研究科の宮崎雅人氏は
「小さい所を大きな所が吸収するケースを考えれば、
平成の大合併はジニ係数を下げる方向に働いたはずだ。
実際の格差拡大は今回の結果より大きいのではないか」と分析している。【統一地方選取材班】

◇ジニ係数 所得の不平等感を0~1の間で示す数値。
「0」は完全な横並びで、数値が高いほど格差が開き、
「1」は1人だけに所得が集中する状態となる。
イタリアの統計学者、C・ジニが考案した。
日本の個人所得のジニ係数は80年前後から上昇。
どの統計を使うかで数字は異なり、0.2台~0.4台と幅広い結果が出ている。
今回は各自治体の平均所得を使ったが、個人所得の差よりも平均所得の差の開きは少ないため、
0.07台という低い水準で推移することになった。
毎日新聞 2007年2月4日 3時00分
引用 http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070204k0000m010116000c.html

格差社会と言われて時々耳にするジニ係数(ジニ係数の算出法)。確かに格差は広がっていることが明らかに。
国民年金が危ないと言いながらも,
選挙が近いからと,しばし封印されている消費税増税論とその背後の法人税引き下げ論。

さて,格差是正と年金問題を改善する1つの方法としては税金改革でしょうな。

まずは所得税
累進課税制度で,1983年までの最高税率は75%(課税標準8000万円以上)。
私には縁のない税率とはいえ,さすがにこれでは勤労意欲を失うでしょうなぁ。
その後,何回か改定され,2006年度までは37%,2007年度からは40%(課税標準1800万円以上)になる。
今年度は,前年度と比較して,
所得が195万円以下の人は減税,695万円以上の人は一律3%の増税。
所得の少ない人が優遇されている点だけは評価できますな。

問題としたいのは預金の利子や株式配当・株式譲渡益
これらはいわゆる分離課税で,
どんなお金持ちでも,どんな貧乏人でも税率は同じである。
  利子…15%  配当…7%  株式譲渡益…7%
預貯金を切り崩して生活している世帯が多いということがしばしば報道されていますなぁ。
これらの税率を例えば累進課税にする。
イギリスではすでに採用され,最高税率は
  利子…40%  配当…32.5%  株式譲渡益…40%
なんだそうだ。
 参考 東京税理士会 イギリスの税制
分離課税を維持するなら,分離課税のスウェーデンを参考に,
利子や配当などは一律30%(所得税の最高税率は25%)に増税。
 参考 スウェーデンの税制

働けども働けども暮らしは楽にならず…
こういう状況は何とかしたいものですな。

余談ですが,富の再分配も必要ですなぁ。
相続税は,1000万円以下が10%,3億円超で50%の累進課税。
 参考 相続税の税率
もっとわかりやすく,こんな税制改革はいかが?
 非課税を基本とし,1000万円を超える相続分はすべて社会福祉目的の国家予算に編入する。

再チャレンジできる世の中を目指すなら,
ある程度スタートラインがそろっているのがファアというものでしょう。