「下街道」から少し外れ、近代化遺産をめぐりは、旧名古屋城三の丸跡に建つ「名古屋市役所本庁舎」と「愛知県庁本庁舎」です。いづれも「重要文化財」「名古屋市都市景観重要建築物」で、ともに日本趣味を基調とした近代式建築の代表作となっています。

 

 

 

 

「名古屋市役所本庁舎」です。昭和天皇御大典事業として建設され、昭和8年(1933)に竣工したものです。。近代的ビルに和風の瓦屋根をのせた外観が特徴です。外観意匠は一般公募の中から平林金吾氏の案が採用されました。

 

鉄骨鉄筋コンクリート造、地上5階・地下1階・塔屋つき建物です。

 

 

 

 

外観の特徴は、中央にそびえる高さ53.5mの時計塔です。二層の屋根を配した塔の頂上には、四方睨みの鯱をのせ、名古屋城との調和を図った意匠となっています。

 

当時の市庁舎としては突出した規模を誇り、特産のタイルを駆使した壁面で独創的な意匠を創り出すとともに、昭和初期の記念的庁舎建築として高く評価され、平成26年に国の重要文化財に指定されています。

 

 

 

 

 

 

祭日で内部をうかがい知ることができませんが…

 

玄関ホールは、山口県産の良質な大理石が使われ、シックな造りとなっているそうです。ドラマ「華麗なる一族」などや映画のロケ地にもなっています。

 

                     ㊟この写真はお借りしました。

 

 

2階・3階中央奥には、名古屋市議会本会議場があり、市政を丸く納めようとの思惑からか、全国的にも珍しい円形の議場となっています。3階は傍聴席です。

 

                 ㊟この写真はお借りしました。

 

 

 

 

 

南隣に建つ「愛知県庁本庁舎」です。昭和天皇御大典事業として建築され、昭和13年(1938)完成。洋風の屋根に城郭風の銅版屋根をのせた特徴ある外観です。昭和前期に流行したといわれる日本趣味建築の代表作で、平成26年に、国重要文化財に指定されています。

 

基本設計は、渡辺仁氏・西村好時氏。戦争が拡大しつつあるときで、国威発揚の波に乗った帝冠様式の意匠は、当時多く建設されました。このような時代背景の中で、名古屋城と先に完成していた隣接の名古屋市役所本庁舎との調和も配慮された設計となっています。

 

鉄骨鉄筋コンクリート、地上6階地下1階塔屋付き。高さ39.79mあります。

 

 

 

 

外壁は2階の窓下までを花崗岩貼りで強固に見せ、その上部6階窓下までを黄褐色のテラコッタタイルを用い、6階の壁面には白色の磁器モザイクタイルを用いて、愛知県が陶磁器どころという意味も持たせています。名古屋市役所本庁舎とはやや趣を異にし、より城郭的色彩が濃いといえます。

 

 

 

 

玄関前車寄せ。ドラマ「二つの祖国」などのロケ地となっています。