「越中東街道」今村峠を越え、やっとのことでたどり着いたのが、高山市国府町西門前にある「安国寺」です。

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 この日(4/19)は、未明に飛騨古川で車中泊の時、前線が通過したのか激しい雷雨があり、寒気が入り込んでいました。高山から歩き始めたのですが、ほぼ晴れあがっていたのに、不安定な天候で氷雨のような冷たい雨が降り始めました。

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 室町幕府を開いた足利尊氏と直義兄弟により、幾多の戦乱で亡くなった人々を弔うため、全国に安国寺が建立されました。飛騨の安国寺は、京都南禅寺から派遣された瑞厳和尚のもと、正平2年(南朝:1347)国府にあった小林寺を改宗し創建されたと伝えます。七堂伽藍と九つの塔頭があった大規模なお寺でした。今の本堂は、江戸時代の寛永元年(1624)高山藩3代藩主金森重頼によって再建されたものです。

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 永禄7年(1564)兵火により多くは焼失するも、幸い経蔵は焼けずに残りました。応永15年(1408)建立された唐様素木造りの簡素な建物で、欄間は波形連子の質素な飾りです。日本に現存する国宝経蔵(法隆寺経蔵・唐招提寺経蔵・安国寺経蔵)の一つです。

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 入母屋造・柿葺。周囲に裳階を付した禅宗様建物です。

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 経蔵内にある経本(木版一切経)を納めた八角形の輪蔵は、回転式のものとしては、日本最古のものす。中心の軸一本で全体のバランスをとり、ベアリングも使わず回り続ける八角輪蔵の素晴らしさは、飛騨の匠の素晴らしさでもあります。

 本元という僧が中国にわたり、杭州大晋寧寺(現在は廃寺)で、元の時代に作られた経本を買い求め、持ち帰った5397巻(現在残っているのは2208巻)が納められています。仏を念じながら輪蔵を回転させると、一切経を全部読んだと同じご利益があると信じられてきました。

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㊟事前連絡で内部は拝観できるのですが、行き当たりばったりでは…この写真はお借りしました。

 
 開山堂には、塑像瑞巌和尚坐像(重文)が安置されています。明徳3年(1392)の作。

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 安国寺からさらに登ったところに、熊野神社があります。拝殿の奥に本殿があるのですが、鞘堂に納められ外部からは見ることができませんでした。

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 本殿(国重文)は、一間社流見世棚
 造・柿板葺。創建は室町末期。

 飛騨地方の神社建築の流れを知
 るうえにも重要です。


 ㊟この写真はお借りしました。


        
        2017.04.19