これまでの世紀では、普通の人間が他の場所での出来事など知ることはありませんでした。それが、今やそのような情報が手に入るので、あなた方はそれらを処理し、吸収しなければならなくなりました。それで、遠隔地での出来事が現在の知識になるのです。

 

 また、ジェット機による旅行は時間についてのあなた方の概念や経験を混乱させ、そうしてあなた方の時間についての概念を変えます。この事はコンピュータの使用を通して、たいへん限定された不器用なやり方ではあるものの暗に示されていて、そこであなた方は「未来の蓋然性」を評価し、それに応じて現在において行動しようとします。

 

 意識はこれをどんなコンピュータより遥かにうまく果たすことができます。意識がそのことを信じれば、脳の一定の部分が活性化されます。すると脳は意識のより多くの知識に気づくようになり、さまざまな未来の蓋然的な出来事を意識的に利用できるようになるでしょう。

 

 あなた方は過去を変えることによって現在を変えることができるし、未来から現在を変えることもできます。けれどもそれらの操作でさえ、あなた方が実際に経験する現在でなされる必要があります。自分がそんな事をしたとは全く知らずに、多くの人々が「未来」の蓋然的な自己の忠告に応じて現在の行動を色々な折に変えたことがあります。

 

 あなたには一人の若者として、目指して励んでいる特別な目標があるとしましょう。あなたの意図、イメージ、願望、決意が霊的な力となり、あなたの現前にいわば投影されます。あなたは自分の現在から自分自身の現実を、未来だと思うものの中へ送るのです。

 

 さて、ある段階で、決定すべきことが幾つか出てきて、でもどの道に進路を向けるべきか分からないとしましょう。目標からそれる危険があるけれども、他の理由から、そうしたいという気持ちが強くなるかもしれません。

 

 するとたぶん夢や空想で突然、最初に意図したことをどんどん進めなさいと、きっぱり告げる声を聞くでしょう。あるいは同じ情報を何かほかの形で受け取るかもしれません。たとえば衝動やヴィジョンで、または急にすべきことがはっきり分かるなど。これらはあなたの現在で起こります。

 

 他の見方では、あなたが未来に投影した自己が、今なお創造することのできる蓋然的な現実から、あなたを激励してくれているのです。けれどもその焦点を合わせられた自己はそれ自身の現在から影響を及ぼしています。そしてあなたは自分自身の未来のある日、ずいぶん迷い、しかし適切な道を選んだ過去のその時を、懐かしく思い出している自分に気づくかもしれません。

 

 「ああして良かった」とか、「今にして思えば、あのように決心した私はなんて運が良かったんだろう」などと思うことがあるでしょう。そしてその時、あなたは「過去のあの人」に元気づけるように話しかけた「未来のあなた」です。蓋然的な未来が事実上の現在に追いついたのです。

 

 未来に投影されたあなた自身についてのずっと前のアファメーションが、そのような事を可能にさせたのです。同じようにして、自分と自分自身の全体性を受け入れることによって、あなたは自分のいつ如何なる現在においても、自分の過去と未来を変えることができます。

 

『個人的現実の本質 ジェーン・ロバーツ著』 より

 

※ 「未来の蓋然性」とは、確率的偶然性とも訳されます。元の単語は、probability です。並行世界もしくはパラレルワールドと言う場合もありますが、用語が違うだけで同じ概念です。