福島県、9000人の母乳検査へ | ただちに、どうなんですかね?

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乳児への放射線の影響は本当にないのか。福島第1原発事故を受けて新年度、県民の母親約9千人を対象に、母乳に放射性物質が含まれていないか検査することを決めた福島県は、県外避難者も対象とする方向で検討している。福島から東京に避難し、不安な思いで子育ての日々を送る家族を取材した。(鷲野史彦)

 ベビーベッドですやすやと眠るわが子。「五体満足で生まれてくれて、ひと安心です」。東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」で避難生活を送る藤田政寿(まさとし)さん(30)と、妻の寿美(かずみ)さん(30)は愛らしい姿に目を細める。

 長女寿羽(ことは)ちゃんが誕生したのは、昨年11月29日。2人の寿の文字を取り、「幸せに包み込まれて育ってほしい」と願いを込めた。寿羽ちゃんがぐずると、寿美さんは母乳を与えてあやす。

 「福島県の検査で妻の母乳が安全だと分かれば、少しは安心できるかな」。政寿さんは言った。

 政寿さんは福島第1原発から約7キロの福島県浪江町で、すし店を営んでいた。1号機が水素爆発した昨年3月12日、妻と長男の寿弥(としや)ちゃん(2つ)を連れ、町の指示で津島地区の高校に3日間避難した。

 原発の北西約27キロにあるその高校は、空間線量が今年1月の測定でも毎時14マイクロシーベルトあり、町内でも高い。だが当時、情報はなかった。

 寿美さんが妊娠5週と分かったのは、妻の実家がある江東区に避難した昨年4月初旬だった。

 いったいどれほどの被ばくをしたのか-。政寿さんと寿美さんは8月、福島県が実施する内部被ばく調査を受ける。寿美さんは未検出だったが、政寿さんから1360ベクレルの放射性セシウムを検出。50年間の生涯被ばく線量に換算すると0.063ミリシーベルトになる。

 不安にかられ、質問を繰り返す政寿さんに、調査担当者は言った。「体内になかったものがあなたに取り込まれたのは事実です。でも、この量なら胎児に影響はないはずです」

 内部被ばくを知ってから、政寿さんは結婚前に妻の母(58)に言われた話を思い出す。「寿美の父方の祖父母は、広島の原爆被爆者なんです」。当時10代だった祖父母は広島市内の爆心地から2~3キロで被爆した。

 祖父母に後遺症はなく、家族にも影響は出ていないのに、義母は打ち明けた。政寿さんは「原爆から70年近くたっても、広島の人と家族になることは、原爆の影響も考えて受け入れるということなんだ」と思う。

 子どもの安全を考え、福島に戻るつもりはない。だが子どもたちが結婚する時、きっと義母のように言うだろう。

 「自分が内部被ばくしたことや、子どもたちが『福島の子だ』と結婚相手に伝えたい。それでも受け入れてくれる人と幸せになってほしい。それが親の務めだと思うんです」

 子どもたちがいずれ出会う最愛の人は、福島の親の気持ちを分かってくれるだろうか。政寿さんは、2人の子を静かに見つめた。
http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20120206155219807
(2012年2月5日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】