ツール・ド・フランス第14・15ステージでポガチャルが美しくレースを制した。第14ステージは残り5kmで僚友のアダム・イェーツを先行させ、4kmで並んでそこからヴィンゲゴーを突き放した。第15ステージではアシストの強力な牽引のあとヴィンゲゴーが懸命に上るところ、ぴったりマークして最後の5kmで突き放すという展開だった。リードがあるからと言って守りに徹することなく、展開に応じて戦術を工夫し一気に攻めるレース運びが美しい。歴史に残る名勝負である。
15ステージでヴィンゲゴーに1分もの差をつけ、報道では圧勝とされる。ポガチャルの最大出力は5分で460Wという。アマチュア中級で200W。体重の7倍近い数値で人類史上最高かもしれない。勾配10%で時速21kmというとてつもない数値になる。5km14分17秒、一方、ヴィンゲゴーは5kmで1分遅れとなると、15分17秒。時速19.6kmなので同じ体重ならば429Wになる。ポガチャルと比べて7%位の差である。
この位の差は、トレーニングを順調に終える、体調を落とす、栄養補給が不足する、といった要因でひっくり返るぐらいである。圧勝のように見えるけれど、僅差とも言える。ドーピングで知られるランス・アームストロングのピーク時でも、ポガチャルと同じ体重で計算しても435Wである。この空前の水準で二人が切磋琢磨しているということが計算するとよく分かる。
見応えあるな。