問題が一過性ではなく慢性化して悪化する場合は、悪循環に陥っていると推測される。

 企業でもよくあるのが、ミスの連鎖である。ミスが重なる、ようやく報告が上がる、現場は調査で滞る、報告書づくりに手間がかかる、会議では延々と責任が追及される、現場は硬直して業務を再開する、さらに深刻なミスが重なる、といった悪循環である。こうなるとトップが介入するほど、管理は責任逃れ、現場は業務過多でミスが増えてしまう。

 個人ではギャンブル依存症がその例である。誘われてギャンブルに手を出す、ビギナーズラックで勝ってしまう、快感を覚えてまた賭ける、今度は負ける、負けを取り戻そうとさらに賭ける、しばらく負け続けてまた勝ってしまう、さらに強く快感を覚えて、という悪循環である。こうして依存症になると、脳の回路が組み代わって治らなくなる。

 こうした悪循環を脱するには、前倒しの分岐から良循環を構成することになる。従来の進め方でいかんともしがたい。ミスが重なる、現場で原因を率直に分析する、現場で改善策を講じる、直ちに実行する、それでもミスがでる、また現場で原因を、といった流れである。ギャンブル依存症では、とにかく手を出さない、になるだろう。カジノ解禁とかは許されない。

 もっと例を挙げてみよう。