社会システムデザインをどう普及させるか、を考えている。ハウツー本にすれば広まるかもしれない。ハウツーの第一歩として、循環思考を取り上げてみる。

 この思考は、まず因果をとことん追うところから始まる。モノを売った、代金もらった、という応報では終わったりしない。モノが調子悪くなったら? モノを使い終わったら? といった具合に追っていく。原発の問題にすると、活断層や避難も申告だが、因果を追うと核燃料廃棄物の処理に行き当たる。再処理が必要な量は年間5千トン、高速増殖炉もプルサーマルも計画は破綻、無害化するまで10万年では地層処分も危険、と出口がない。これでは稼働は出来ないはず、というのが因果を追うと分かる。

 除草剤を撒くのも因果を追ってみよう。除草剤を撒くと土壌菌が弱り、多様性も失われる。弱ると連作は難しく、病虫害にも罹る。土壌菌の働きで得られた栄養分も損なわれる。化学肥料を撒いて栄養分を補うが、その効果も一期だけになる。土壌菌を食べるミミズたちの働きで、土は団粒構造になり、つぶの表面に好気菌、内側に嫌気菌と多様性が保たれるが、除草剤のおかげで土壌菌とミミズが激減し、土は固くなってしまう。こうした作用で最初は高収量だが、あとでは干からびた土で肥料・薬品まみれにしても作物も満足に育たなくなる。こんな結末も、因果を追えば明らかだったはずだ。

 このように「それで?」「それで?」と因果を追うことで、根本の問題が立ち現れてくる。始末が悪い、というのは原発や除草剤のような問題である。