ポガチャルが圧倒的な強さを見せている。今日の山岳ステージも残り14kmからアタックして快勝、2週目を終えて、2位に7分近いの大差をつけている。昨日は平坦なコースのタイムトライアルで、あのガンナに30秒ほど遅れて総合勢に差をつけた。元々爆発的なアタックが得意だが、長い登攀でも平坦なコースでも強さを示すようになった。

 知り合いの話では、クランク長を165mmと短かくしたのが効果的のようだ。今までは175mmぐらい長いクランクを、グイグイ踏むのがいいと思われていた。でも根拠があった訳ではなかった。長いクランクだと筋肉の収縮幅や関節の可動域が大きくなる分、疲労や故障しやすいようだ。スクワットやジャンプでも深く膝を曲げると膝を痛めるし、浅いと力は入れやすい。コロンブスの卵みたいな発想だ。

 使う筋肉も違うので、適応には時間がかかるはず。でもポガチャルはダブルツールを狙うために、リスクをとって取り組んだ。ヴィンゲゴーにも勝てるように。故障しにくいのでより強度の高いトレーニングを積めたのだろう。その成果が、今シーズンの圧倒的な勝ちっぷりにつながる。サイクルショップでもショートクランクが売り切れる位だそうだ。元々、ずば抜けていたのが、更に強くなった。

 これまで自転車レースを見てきたけれど、ここまで圧倒的なライダーは見たことがない。インデュラインも山岳では遅れず、タイムトライアルで差をつける、という保守的な走りだった。アームストロングも同様で、しかも他チームならエース級のアシストを揃えていた。コンタドールも爆発的なアタックとカンチェラーラに近いタイムトライアルで強かったが、長い登攀で大差をつける走りではなかったと思う。史上最高のサイクリストの最高の走りをリアルタイムで見られるのはラッキーである。

 ジロの風景も素晴らしい。タイムトライアルでガンナが勝った後、表彰式を待っているときに愛犬が寄り添って前足をそっとかけた様子も良かった。愛犬はボーダーコリーだったんだ。そしてレースが終わるのが24時位で、ツールより早くで睡眠不足にならないのもいい。JSPORTSさん、有り難う。