深夜、犬の鳴き声が何回も聞こえてきた。うちの犬の声だ。いつもの寝所には姿がなく、声のする方に行くと浴室だった。扉を開けると、困った顔の犬が待っていた。閉じ込められて焦っていたのだろう。粗相の匂いもする。

 この密室事件を推理してみた。高齢になってトイレも近くなってきた。深夜、催した。そこで犬は考えた、外に連れ出してもらうまでもない。でも、下手な場所で粗相して迷惑をかけたくない。思いついたのは、濡らしてもいい場所としてシャンプーで使う浴室だった。

 そこで浴室に忍び込んで、ひとまず用を足す。ところが浴室の扉が何故か閉まってしまった。出られない、というので鋭い警告音で人を呼んだ。そんなところだろうか。現場には焦って動き回った足跡も残されていた。

 高齢になっていろいろ問題も出てくるが、犬なりに一所懸命に考えて、問題解決を図るところが愛おしく思う。ちょっと焦っちゃったね。