川勝知事の進退が話題になっている。訓示で、職業差別と誤解されるような発言があった、ということで苦情の電話が数百件寄せられ、ということも報道され、さらに炎上している。でもこうした苦情電話はおそらく組織化されたものだ。

 十数年前だったと思うが、亀井議員が郵政関係の発言をするたびに、テレビ局に応援するような電話が繋がらなくなるほど殺到していたという。テレビ局はこれほど反響があるなら、ということで亀井氏の発言をさらに取り上げていた。でもこうした電話をかけるのは、いつも二百人ぐらいで、発言もパターン化されていたそうだ。どう考えても、この電話は特定の組織が号令のもとで、手分けして一斉に電話していた。二百人で世論が変えられる。

 川勝知事は、地下水脈が影響を受ける、としてリニア新幹線の工事を反対していることで有名だ。似た例がある。複数のダムの水位を調整できるように、地下パイプで繋いだところ、棚田に引く地下水が枯れてしまったそうだ。リニア新幹線になるとさらに太く長いので、地下環境に多大な影響を及ぼすのは十分に推測できる。そもそも総工費7兆円、財政投融資3兆円をかける意義も疑わしい。原発再稼働とセットなのもやばい。

 でも巨額のリニア利権に関わる組織には、川勝知事は目の上のたんこぶである。なので知事の発言を目を皿のようにしてくまなくチェックし、問題発言として切り取れる箇所を探し出す。見つけたら、馴染みのメディアに情報を提供して記事にさせる。掲載されるタイミングに合わせ、数百人もの電凸チームにメッセージパターンを渡し、指定された先に一斉に電話をかける。こうした手順は確立されている。きっと知事のご自宅やご家族にも嫌がらせがあるだろう。

 一般市民は、知事の差別発言けしからん、けしからんやつがリニア新幹線に反対している、というように印象操作されてしまう。利権側の思う「壺」である。こうして有権者の支持を得て選ばれた知事が、数百人もの組織の工作で、辞任に追い込まれる。そもそも差別発言なら、杉田水脈や石原慎太郎らは切り取りではなくて、常日頃から確信的に展開している。暴言なら、麻生太郎、二階俊博の十八番である。でもこうした連中には、苦情電話が殺到することにはなっていない。利権側の組織が動いていないからだ。

 21世紀のノイジー・マイノリティ、よくよく注意すべきである。