台湾は、ずっと対外的緊張を強いられながら、ハイテク分野をはじめ豊かな社会を実現している。オードリー・タンで知られるように、行政でもデジタル化やコロナ対応で日本とは雲泥の差である。まとまった論文がうまく見つけられないのだが、台湾の行政機構の特徴を日本と比較して調べてみた。要点としては

  • 行政と立法は独立。行政の長は総統として直接選挙で選ばれ、行政院長以下、司法、監査、人事の四権のスタッフを任命する。したがってオードリー・タンのようにその分野で傑出した民間人や教授、医師、実務家が登用される
  • 国会にあたる立法院委員も直接選挙で選ばれるが、行政監督の公正さを重視するため、大臣に当たる立法院の部長や委員を兼任できない
  • 1ヶ月にも亘る選挙は台湾の一大イベントで、候補者の資質が問われる。学歴や実績重視で、世襲は論外。結果として総統はみな博士号、立法院委員も多くは修士号、博士号を取得している
といったところだろうか。

 日本の場合は、議院内閣制であるため、ほとんどの大臣も議員から任命されるので、国会で選挙制度を改変もできて、一党独裁になりやすい。これに官僚組織も迎合すると、利権優先の収奪経済に陥ることになる。台湾と比べると、そんな帰結がはっきりしてくる。

 もっとも東京都は知事も都議会議員も直接選挙で選ばれるが、学歴詐称疑惑、五輪や再開発で利権まみれ、議会でも厳しい質問を発言取り消し


、という体たらくである。選挙に無関心であることが、どれほど危険なことかを浮き彫りにしている。