自民党のパーティー券収入について、議員へのバックマージンが問題になっている。パーティー券や政治献金は賄賂だし、それにバックマージンとは反社の上納金のような犯罪性がある。

 もっと追及すべきなのは、都心部の再開発案件に関わるバックマージンである。相場はだいたい3%、例えば麻布台ヒルズの総事業費6,400億円で試算すると、192億円という規模感になる。昔は公共事業の入札談合が横行して、政治家への裏金も捻出しやすかった。この問題に独占禁止法と入札談合等関与行為防止法が実効性を発揮し、政治家への資金の流れが絶たれたかのようにみえた。

 ここに都市再生の議論が持ち上がる。表向きの理屈は、都心部を再開発して世界的企業の本部を集積させる、ということだ。でもいくらオフィスビルを立派にしても、それで日本進出が増える訳ではない。市場の魅力や制度の合理性などが需要側の要因なのは言うまでもない。こんな屁理屈で2002年に都市再生特別措置法が制定されてから、指定地域の容積率は青天井になっていく。その効果で都市再生緊急整備地域に指定されると、三大都市と地方政令都市では地価は約1.8倍になったと検証されている。地域の土地を所有する大手ディベロッパーには兆単位の資産差益で、濡手に粟である。この地域指定は政治力がモノを言うが、そこへの謝礼は、開発工事を請け負うゼネコンや設備業者も工面する。これがバックマージンだ。

 開発側は、規制緩和で公共負担なく都市再生が出来る、と主張する。しかし、ヒートアイランドや風害、景観阻害、近隣窮乏化などの外部不経済が、デベロッパーらの資産差益を上回る。明らかに巨額の公共の負担である。結局、政治家へのバックマージンが効くので再開発案件が動き出し、樹木伐採からタワー竣工まで進む。

 分かるのはバックマージンは、ヒートアイランドなどタワー公害の素になりうるということだ。