中村哲氏らがアフガニスタンで敷設した灌漑設備によって、約65万人の難民が入植して農耕を営むことが出来たという。調べると、その総投資額は約15億円。砂漠を潤すという計画に、飢餓寸前の農民らがシャベルysツルハシを持参して集まったそうだ。そして5~600名の現地の人々を実地に訓練して、15年以上もかけて25kmもの運河を建設した。現地雇用の人々の日当は、240円だったそうだ。国連が示す絶対的貧困のラインが今は日収2ドルだが、現地の人々には一日240円が貴重だったことが伺える。こうした現地の人々は、開通後は農地を得るとともに、灌漑施設の補修を担っている。持続的な開発の見本だ。

 一方、安倍元首相在任中に途上国向けと称して、総額60兆円をばら撒いたそうだ。岸田首相も負けずに35兆円を約束している。無償供与と借款とが混じった金額的だが、15億円とはケタ違いである。バラマキと言われるが、実質的には紐付きで懇意の企業連合に落とす仕組みになっている。ミャンマーでは軍事独裁政権を経由して、懇意の企業連合に落ちる。たちが悪い。

 海外支援もいい加減に中身で議論、報道してほしいものだ。アフガニスタンでは15億円で15年ほど500人の雇用を生み、65万人の生活を成り立たせた、というのがベンチマークになる。それと比べて、安倍、岸田の途上国支援の中身はどうなんだろう。60兆円なら最貧ラインから260億人もの生活を救うことになるはずだが、あれ、地球の総人口を超えているな。