覚え違いは、関心や選好が無意識に現れたものとも言われる。情けは人の為ならず、というのを、情けをかけるのはその人のためにならない、と解する人もいるそうだ。試合で手加減するのは相手に失礼だ、と常々思っているのかもしれない。経済学をお金儲けの学問だと思っている人は、お金儲けが大事なんだろう。

 ここで思い出すのは、近藤麻理恵さんのベストセラー、「人生がときめく 片づけの魔法」に関することだ。図書館でこの本を借りようとしたある方は、「人生が片づく ときめきの魔法」と覚え違いしていたという。たぶん、とっ散らかった人生に始末をつけたかったのだと思う。気持ちはよく分かる。

 それ以上に「人生が片づく…」という本があったら、これもベストセラーになるかもしれない。やるだけやった、思い残すことはない、と最期に言えるように。高齢社会ならではのベストセラーである。