外向的な人と内向的な人とは、パーソナルスペース、つまり他人が近付いても不快にならない距離が倍ほど違うらしい。トートロジーっぽくも思えるが、うなずける。

 内向的な人とは、他人との関わりが煩わしく感じ、一人で静かに居る方が落ち着く人、と言われる。動物として、外敵が近づいてくると緊急体制に入り、逃げる、闘う、を咄嗟に判断・実行せざるを得ない。話し好きなら、相手が本当に敵意があるのかを、言葉を交わしてその表情などから吟味するだろう。でも他人と話しをするのに、過大な負担感がある人は、逃げる、闘う、をしやすいように距離をとる。

 そう考えると、広い空間を求める人は、モノが多い、人が集まる、富の象徴である、からとかの理由はあるが、実は本人は内向的なのかもしれない。親しい人のように見えても、そこまで信を置かずに距離をとる、心のうちは明かさない、といった感じである。そして広い空間は外には閉ざされている。

 一方、外向的な人は、狭くても良くて、外に開かれた空間を好む。挨拶を交わしつつ、相手との距離感を適切に調整する、そんな緩衝空間も大事になる。町家の造りはそんな感じである。内向的な気分には、方丈記のような小屋や離れが用意される。

 建築学科の課題では、住宅を街に開くというのが良しとされていると思う。コミュニティが育まれる、とかいう文脈である。でもこのパーソナルスペースの観点からすると、内向的な人、内向的な気分には、そればっかりではないようだ。住まいや街に、静かに一人になれる場所も大事なのかな。