ラテンアメリカで繰り広げたCIAによる民主政権の転覆と拘禁、拷問、虐殺は、アウシュビッツと並ぶ国家犯罪である。このCIAの活動の資金源となったのが、統一協会による日本での霊感商法だったと報告されている。統一協会を組織したのは朴政権におけるKCIAの金鍾泌、日本で統一協会を支援したのがCIAのエージェントだった岸信介、CIAによる国家犯罪を指示したのがキッシンジャー、という戦慄の構図である。ちなみに岸信介は里見甫と満州でアヘン利権を握り、その膨大な闇資金が笹川良平らを通じて統一協会を支えた。またアメリカは反共ということでCIAを通じて、自民党に対して毎年200万ドルから1000万ドルの資金を供給していた。

 

 ラテンアメリカにおけるCIAの暴虐ぶりは凄まじい。ガルシア・マルケス「戒厳令下チリ潜入記」でも鮮やかに描かれているが、チリのアジェンデ政権を1973年にピノチェト将軍が軍事クーデターによって転覆させた。その後の独裁政権により、左翼勢力に対して拷問センターなどを用いた徹底した弾圧が加えられ、死者4万人、行方不明2千人、亡命者100万人を数えるに至った。この反共の動きを主導していたのがCIA、それに統一協会が資金提供していた訳だ。

 グアテマラではCIAが組織したクーデターによりアルベンス政権が転覆され、その後40年に亘って死の部隊により拷問、失踪、集団処刑といった残虐行為が続けられて20万人もの犠牲者を生んだ。ニカラグアでは、サンディニスタ政権に対抗してCIAの支援で反革命軍コントラが組織された。コントラは学校や病院を焼き払い、港に機雷を仕掛け、市民に機銃掃射と爆撃、拷問や強姦を繰り返し、サンディニスタ政権の社会厚生プログラムを破壊した。コロンビアでは麻薬政策のフリをして、左派ゲリラ政策を進め、2万人以上を殺害した。アメリカは1億ドル以上の軍事支援と殺傷支援

を行っている。パナマ、ホンジュラス、ペルー、ハイチ、スリナム、ドミニカ、ボリビア、メキシコ、ブラジルなどでも同様の活動を展開した。日本政府がカルト規制に及び腰だったことで、ラテンアメリカにおける国家犯罪を生んでしまった。

 

 統一協会による日本での霊感商法は犯罪的だと思うがこれを自民党政権は黙認してきた。その背景には、統一協会の集票力やスタッフ派遣などだけでなく、アメリカの傀儡政権としてCIAの重要な資金源を断てなかったのだろう。この辺りは、国会の国政調査権をフルに発揮して、徹底的に調査すべきではなかろうか。統一協会問題は、国内問題に留まらず重大な国際問題にも及んでいるのだから。