いろいろなチームが協調したりそうでなかったりしながら、お互いに影響し合って組織を構成しているとする。こうした組織の行動を無効化する方法がいくつか考えられる。

 一つは、作用の二重化である。つまり別のチームが選択しうるある戦略が他のチームに与える(ないし受ける)作用を、そっくりコピーするチームが現れると、組織全体で得るものは選択の余地なくゼロになってしまう。ある意味で、権力の二重化という状況だろうか。

 二つ目は、収奪である。生かさず殺さずといった具合に、各チームの自己に還元される利得(作用)を、ちょうど全体の成長率と同じだけ差っ引く方法である。この収奪によって、組織全体で得るものはゼロになる。例えばチームの利潤が、全て本部に納められて配当や税金などにあてがわれ、何もチームに還元されない場合が思い浮かぶ。

 三つ目は、疎外である。自己還元を含め、あるチームの相互作用をすべてゼロにしてしまう場合である。このときも組織全体で得るものはゼロになる。もっとも、このチームを組織から分離すれば、組織全体はゼロにはならない。

 二重化、収奪、疎外といった用語が、こうして組織論にうまく埋め込めるのも興味深い。ちなみに、いったんこうした相互作用が働くと、これを元に戻すことは出来ない、というのも恐ろしい。